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漢詩の美を伝える現代の歌声(前篇)

2019年 1月 11日14:45 提供:中国国際放送局

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ここ数年、中国では国学がブームになっています。「经典咏流传(古代名詩を歌い継ぐ)」、「中国詩詞大会(中国漢詩大会)」など、国学をテーマにしたテレビ番組が人気となり、特にCCTVが2018年の初めにスタートした音楽番組「古代名詩を歌い継ぐ」は、素晴らしい歌声で漢詩の美しさを伝え、多くの観客を魅了しました。以前、中国メロディーでは2018年にこの番組に登場した音楽をご紹介したことがあります。今回の中国メロディーは、前回に紹介仕切れなかった素晴らしい作品をお送りします。

漢詩の趣を伝える「声律啓蒙」

歌手・趙照の「声律啓蒙」は中国の古書「声律啓蒙」の中の名句を基にアレンジした同タイトルの歌です。歌は先生が子供に漢詩の「声律」つまり対偶や韻などの形式と決まりを教えるシーンを描き、漢字や漢詩の美しさを伝えています。

歌詞の中には、このようなシーンがあります。「两鬓霜一客行、新绿衬酒红(白髪混じりの旅人がやってきて、新緑の春景色と赤い酒を楽しむ)」は、辛酸を嘗めつくした旅人が初春の木の下でお酒を飲むシーンを思い浮かばせます。また、「我对你 嘴对心 九夏对三冬(私とあなたは口と心、真夏と真冬に対応する)」は恋の誓いを連想させます。これらの古代名詩が実力派歌手たちによって現代音楽の形で詠まれることは、まるで最高の食材が最高のコックと出会うようなものと言えるでしょう。

CCTVの音楽番組「古代名詩を歌い継ぐ」の中で最も印象深かった曲と言えば、「明日歌(明日の歌)」という曲を思い浮かべる中国人は多いと思います。この歌は3人組の歌手・TFBOYSの王俊凱が音楽番組「古代名詩を歌い継ぐ」の舞台で歌ってから大流行し、2018年のヒット曲となりました。

この歌はメロディーが美しいだけでなく、歌詞は明の時代の五言絶句「明日歌」の中の詩句で、中国人なら誰でも知っている名句です。王俊凱の若さ溢れる歌声を聞くと、学生時代に国語の先生がこの詩を教えていたときを思い出します。先生は黒板に書いた詩句を指しながら、「あっという間に過ぎ去る今日をしっかりと掴んで、希望と計画を未知の明日に託さないように」と心を込めて教え諭してくれました。

今、これらの古代名詩はポップス音楽の形で若い世代に伝えられ、何もかもが目新しく感じられます。古風な音楽しか合わないと思われていたこれらの漢詩は、王俊凱の元気で若々しい歌声と100体近くもの可愛いロボットダンサーによって、再び青春の輝きを放ちました。

中国精神を象徴する「墨梅」

若手実力派歌手・譚維維(タン・ウェイウェイ)は「古代名詩を歌い継ぐ」の舞台で元の時代の画人・王冕の「墨梅」を基にアレンジした歌を歌い、中国の趣を伝えました。歌はポップスと伝統演劇の節回しや琵琶、古筝、太鼓など、伝統音楽の要素を巧みに融合させ、中国精神を象徴する梅の高潔な趣を讃えました。

歌の中の「要めず 人の顔色の好しきを誇る 只だ留む 清気の乾坤に満つるを」という詩句は「人に美しさを自慢したいのではなく、ただ清らかな香気が天地に満ちることを願っているだけ」という墨梅の気持ちを表していますが、実は墨梅つまり墨の梅という植物はありません。墨梅は画人・王冕が考え出したもので、画人はうわべだけの色彩で自分を美しく飾り立てたいと思わず、精神的な美を求める気持ちを表現しました。

2006年、 湖南テレビ主催のオーディション番組「超級女声(スーパーガールズ)」で準優勝した歌手・譚維維は10数年の時間をかけて表現力を磨き、中国ポップス音楽界でまさに墨梅のような実力派歌手へと成長しました。彼女の清らかで迫力ある歌声は新しい時代の墨梅の精神を歌いました。

番組の中でお送りした曲

1曲目声律啓蒙(声律啓蒙)

歌は中国の古書「声律啓蒙」の中の名句を基にアレンジした同タイトルの歌で、歌は先生が子供たちに漢詩の「声律」、対偶や韻などの形式と決まりを教えるシーンを描いています。

歌詞:

雲と雨雪と風夕暮れと晴れ空に対応する

やって来るオオカリと飛び去る雁に対応する

寝る鳥と鳴く虫に対応する

白髪混じりの旅人がやってきて

新緑の春景色と赤い酒を楽しむ

私とあなたは口と心 真夏と真冬に対応する

2曲目明日歌(明日の歌)

この歌は明の時代の五言絶句「明日歌」を基にアレンジした歌です。

歌詞:

明日の次にはまた明日がある

明日という日は なんと多いことだろう

明日を待って生き続けていたら

万事を無駄に費やしてしまう

3曲目墨梅(ぼくばい)

この歌は元の時代の画人・王冕の「墨梅」を基にアレンジした歌です。

歌詞:

我が家 硯を洗う池頭の樹

朶朶花開けば墨痕淡し

要めず人の顔色の好しきを誇る

只だ留む 清気の乾坤に満つるを