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夢を追い求めるダンゾンニマ

2018年 10月 19日15:33 提供:中国国際放送局

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浙江衛星テレビの音楽オーディション番組「中国好声音(ボイス・オブ・チャイナ)」の決勝戦がこのほど、北京オリンピックスタジアム・鳥の巣で行われ、チベット族の歌手・旦增尼玛(ダンゾンニマ)が2018年度のグランプリに輝きました。今回の中国メロディーは「中国好声音(ボイス・オブ・チャイナ)」という大舞台で茨の道を切り開き、夢を追い求めるダンゾンニマの物語と音楽をお伝えしましょう。

千里の馬、伯楽と出会う

今年26歳のチベット族歌手・ダンゾンニマは青海民族大学の教師です。7月上旬、オーディション番組「中国好声音(ボイス・オブ・チャイナ)」の舞台に初めて登場した彼は、「隠形記念(隠された記憶)」という歌を披露し、高い山から流れる清らかな泉のような美声で、審査員たちと観客たちの心を虜にしました。

内気で照れ屋なダンゾンニマは「この舞台を通じて、より多くの人々に僕の音楽への考えを知ってもらいたい。わが民族の伝統音楽をポップミュージックと融合させ、より素晴らしい音楽を作り出したい」と話しました。それを聞いた審査員の一人で、アドバイザーを引き受けるプロ歌手・李健は「君は今のような純粋で特色ある歌声を守っていくと同時に、他の音楽要素を取り入れたら、より魅力的になると思う」と評価しました。まるで伯楽と出会う千里の馬のようなダンゾンニマは、ためらうことなく李健チームに加入し、最初の予選から最終決戦までの数カ月間、李健の音楽指導と素晴らしい編曲の下、「ボイス・オブ・チャイナ」の舞台で歌えば歌うほど前回よりも素晴らしいパフォーマンスを見せていきました。そして、ついには鳥の巣で行われた決勝戦の舞台で優勝を勝ち取り、李健も今シーズンの「ボイス・オブ・チャイナ」グランプリアドバイザーの称号を手にしました。

「中国好声音」の舞台で進化

「中国好声音(ボイス・オブ・チャイナ)」は中国で最も人気のある音楽オーディション番組として、歌手たちは果てしなく激しい競争を繰り広げます。しかし、ダンゾンニマは舞台の真ん中に立つと、周りの乱れや競争を全く気にすることなく、心身ともに音楽の世界に浸っているようでした。彼の澄んだ透明な歌声は謎めいた魅力を持ち、その魅力は彼を育ててきた独特なチベット族文化から生み出されたのかもしれません。

青海省出身のダンゾンニマは15人の大家族に生まれ育ちました。祝日になると、親族全員が一カ所に集まって、歌ったり踊ったりする習わしがあります。ダンゾンニマの99歳のおばあさんは地元の有名な歌手で、いつも一番に歌い、それに続いて父や母、子供たちもみんな順番に歌っていき、家の中はいつも楽しげな歌声が響いていました。今までに専門的な音楽指導を受けたことはありませんでしたが、家族の愛とアドバイザー・李健の指導があったからこそ、ダンゾンニマは「ボイス・オブ・チャイナ」の舞台で進歩が最も早い歌手となりました。

舞台で美しい花を咲かせる

9月末、「ボイス・オブ・チャイナ」の最終決戦に進むため、歌手たちは厳しい競争を繰り広げていました。ダンゾンニマが歌った「九月」という歌は、独特なチベット民謡の調べで再び観客たちから嵐のような喝采を浴びました。

ダンゾンニマのアドバイザー・李健は「彼は大きくなった!内気で恥ずかしがり屋だったが、今夜の準決勝でこの子供の虎がようやく大きくなったと思った。特に彼の独特なチベット民謡の調べは多くの観客の心を虜にした」と評価しました。

ダンゾンニマはこの夏に初めて「ボイス・オブ・チャイナ」の舞台に上がった時、その実力は多くの優れた相手の中ではまったく平凡なもので、その上、瞬発力が足りないと見られていました。しかし、彼はずっと自分の音楽の夢をあきらめないで、民族音楽の特色をポップスと融合させようとして、ようやく「ボイス・オブ・チャイナ」の舞台で見事な大輪の花を咲かせました。これからもダンゾンニマが夢を求める道のりで、ひたむきに頑張り続けることを楽しみにしています。

番組の中でお送りした曲

1曲目水流衆生(流水衆生)

この歌は李健がチベットを訪れた時に作ったものです。ダンゾンニマがアドバイザー・李健と鳥の巣の決勝戦の舞台でこの歌をデュエットしました。鳥の巣の舞台に立ったダンゾンニマはアドバイザー・李健と高く澄んだ歌声で、平和で神聖かつ純潔な雰囲気を醸し出し、リフレインの部分では二人の合唱は迫力満点、まるで流れ落ちる滝のように人々を感動のるつぼへと誘いました。

歌詞:

運命の黒い雲を覆い隠す山はあるのだろうか

平坦ではない道のりをずっと守ってくれる

すべての戸惑いを洗い清める水はあるのだろうか

生きとし生けるものを身軽にしてくれる

しかし 私はどうしたらいいのだろう

ますます多く欲してしまうが

ついには逃れたいと思うようになる

2曲目野花(野生の花)

この歌は李健チーム内の決勝戦でダンゾンニマがもう一人のメンバー・康樹龍とデュエットしたものです。当時、二人の歌手はこのデュエットで勝負し、一人は敗退することになっていました。ダンゾンニマは相手が歌詞を忘れてしまったことに気づくと、すぐに小声で鼻歌を歌って相手にヒントを与えていました。ダンゾンニマの優しさは現場のすべての審査員と観客達を感動させました。

歌詞:

山の花よ誰のために咲き枯れるのか

静かにあの人が摘むのを待っている

私の肩を軽く叩いたらあなたに任せよう

揺れる花よ彼女もあなたの慰めがほしい

彼女が期待の中で枯れないように

3曲目九月(くがつ)

この歌は詩人・海子が1980年代に創作した詩を基にアレンジしたもので、歌は神秘的な雰囲気にあふれ、詩人が生命、死、時間などへの思いを表しました。

歌詞:

遠方は死の中だけに一面の花を咲かせる

明月は鏡のごときもの 草原の夜空に上り

千年の歳月を照らし続ける

僕の馬頭琴が悲しげな音を立てている 涙は枯れ果てた

ひとりで広々とした原野を馬で駆け回る