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草原の子・ブレンバヤル(後編)

2018年 10月 5日10:08 提供:中国国際放送局

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10月8日は二十四節気の寒露で、この季節の北京は秋空が高く澄み渡り、とてもさわやかです。先週の中国メロディーではこのほど、病気で他界した蒙古族の歌手・ブレンバヤルの音楽人生をご紹介しました。今週は引き続き、彼の音楽の世界をお送りしましょう。

雨の涙が最愛の音楽家を見送る

ブレンバヤルは1960年、内蒙古のフルンボイル生まれました。1988年に全国少数民族青年歌手コンクールで一等賞を受賞し、彼のデビュー曲「吉祥三宝(吉祥三人家族)」やアルバムタイトル曲になっている「天辺(天の果て)」などは、多くの人々に親しまれています。不思議な魅力を持つ彼の歌声は、まるで聞く人を広々とした草原へ誘うようで、青い空、白い雲、大地、自然と一体になる感覚を味わうことができます。その緩やかで美しい歌声は深く染み入り、人の心を打つ魅力を持っています。

しかし、そんなブレンバヤルは今年の9月末、58歳という若さでこの世を去りました。告別式はフルンボイルのハイラルで行われ、当日のハイラルはどんよりとした空模様で寒々とし、午前中は小雨も降りました。フルンボイルの空さえも、この草原を愛する音楽家の他界に涙を流していたのかもしれません。多くの音楽ファンは朝早くから告別式の現場に集まり、雨の中、最愛の音楽家の最後を見送りました。

フルンボイル草原からの無垢な歌声

ブレンバヤルは自らを「草原の息子」と呼び、故郷の草原文化をより多くの人々に知ってもらうため、2006年にフルンボイル児童合唱団を創設しました。半年かけて故郷・フルンボイル草原の四つの牧場を歩き回り、37人の子供を合唱団のメンバーとして選び出し、さらに合唱団のために多くの蒙古族民謡をアレンジしました。

フルンボイル児童合唱団はフフホト、北京、深セン、香港、台湾などの都市で公演し、大きな成功を収めました。子供達の無垢な歌声はまるで草原の空気のようで、聞く人をすがすがしい気持ちにさせました。ブレンバヤルは草原音楽のステージをより大きな舞台に広げていくと同時に、草原の子供たちをより広い世界へ連れて行きました。

あなたは僕の最愛のお父さん

ブレンバヤルは北京で二十数年間暮らしていましたが、草原の子の豪放でさっぱりした性格をいつも持っていました。彼と妻のウレナは慈善事業に対して熱心に取り組み、いつも愛で周りの人を助けてきました。フルンボイル児童合唱団のウダムは最も若いメンバーで、あるとき両親を交通事故で亡くしてしまいます。彼は非常に悲しみ、いつもひとりでもの思いに沈んでいました。そんな様子を見たブレンバヤル夫婦は、この不幸なウダムを引き取って自分の子供として育てることにしました。

2011年、ウダムは上海東方衛星テレビの舞台で「夢の中のママ」という歌で生みの親への思いを歌いました。その場にいた全ての観客たちは哀愁を帯びた美しい歌声を聴いて、不幸な運命に陥りながらも、たくましく生きる小さな少年の姿に心を動かされました。

今年、ウダムはブレンバヤル夫婦の援助の下、アメリカの高等学校を卒業しました。しかし、卒業した矢先に育ての父・ブレンバヤルの訃報が届きました。ウダムはSNSで「あなたは僕の最愛のお父さんで、この孤立無援の世界で家族の愛を与えてくれた。あなたの見返りを求めない愛に僕は永遠に恩返しができない」とメッセージを綴っています。

ブレンバヤルは生前、無私無欲の愛で多くの人を助けてきました。今、彼はこの世にはいませんが、彼の愛はいつまでも夜空に輝く星のように人々に希望と明かりをもたらし続けることでしょう。

番組の中でお送りした曲

1曲目天辺(天の果て)

この歌はブレンバヤルのアルバム「天辺(天の果て)」に収録されているアルバム同タイトル曲です。

歌詞:

天の果てに一対の星がある

それは夢の中の星

心の中に朝の霧がある

それは君の昨日の夜の優しさ

僕は山の頂上に登り

霧の中にある姿を探したい

僕は駿馬に乗り

遠くにある星を探しにいく

2曲目 鄂呼兰德呼兰(オフラン、ドフラン)

この歌はエヴェンキ族の民謡で、エヴェンキ族の女性達が間もなくやってくる冬を迎えるため、毛皮の服や靴、手袋の製作に忙しい情景を唄っています。

歌词:

カササギのくちばしが長い

お嫁さんたちは靴の甲作りに忙しい

黒いカラスのくちばしが長い

お嫁さんたちは靴作りに忙しい

山の木の枝に

絹のハンカチが漂っている

3曲目花海草原(一面に咲く花の草原)

この歌は蒙古族の人々の故郷に対する深い思いを表しています。