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中国音楽界の傑作アルバム「蘇武牧羊(蘇武、羊を牧する)」

2018年 8月 24日18:39 提供:中国国際放送局

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8月23日は暦の上では処暑で、涼しい風から秋を感じるようになりました。過ぎゆく夏を実感する今日この頃、今回の中国メロディーは中国音楽界の実力派シンガー・リーナ(李娜)のアルバム「蘇武牧羊(蘇武、羊を牧する)」からご紹介しましょう。

リーナ音楽の絶筆

リーナは中国音楽界でも稀に見る活躍を見せ、彼女の10年の音楽活動の間に160作品の映画やテレビ番組で200曲余りの挿入歌を歌いました。「チベット高原」「好人一生平安(穏やかな一生)」などの名曲は今も歌い継がれています。しかし、1997年に全盛期の中、35歳の彼女は音楽の舞台から引退して仏門に帰依し、多くのファンに名残惜しさを残しました。

今回の中国メロディーはリーナが出家する前にリリースした最後のアルバム「蘇武牧羊(蘇武、羊を牧する)」の中の音楽をお送りします。この作品はリーナ音楽の絶筆と呼ばれています。

不屈の蘇武を表わす音楽叙事詩

アルバムタイトルにある蘇武は前漢時代の名臣です。漢の武帝の時に蘇武は匈奴への使者を務めましたが、情勢が変わり匈奴に拘留されることになります。匈奴の単于は蘇武に投降を迫りますが、蘇武は従わず、今のバイカル湖である北海で羊の放牧をさせられました。それから19年後、漢朝は蘇武の引渡しを求めて使者を送り、蘇武はついに漢に帰ることができました。

リーナが1997年に100万元を費やしてリリースしたアルバム「蘇武牧羊(蘇武、羊を牧する)」は、中国ポップス音楽界と民族音楽界における一里塚のような存在だと称えられています。このアルバムが20数年前に誕生して以来、時の流れに伴い、ますます異彩を放つようになっています。アルバムには7曲が収録され、リーナは驚愕の歌唱力で蘇武の不撓不屈の精神をありありと表現しました。

音楽界に別れを告げる歌

リーナのアルバム「蘇武牧羊(蘇武、羊を放する)」は、中国音楽史において初めて百余りに及ぶ手作りの伝統楽器の伴奏で収録されました。53分間のこのアルバムは、リーナが1997年に出家する前にリリースした最後の作品です。リーナの全身全霊の歌声は、音楽界に別れを告げる絶唱だとされています。

民謡、陝西省の地方劇・秦腔、河南省の地方劇・豫劇、古代舞踊音楽、現代のポップスなど、様々な音楽ジャンルを取り入れています。リーナは驚愕の歌唱力で、作品の中の喜怒哀楽と心の奥の感情を生き生きと表現しました。

1曲目「一个古老的故事(古い物語)」は歴史の移り変わり、

2曲目「出塞(しゅっさい)」は男らしい勇ましさ、

3曲目「贝加尔湖的冬天(バイカル湖の冬)」は孤独で寂しい様子、

4曲目「望月观花(月を眺め、花を愛でる)」は故郷を偲ぶ辛さ、

5曲目「牧羊姑娘(羊飼いの乙女)」は活発でユーモア溢れる場面、

6曲目「归来(帰ってくる)」は里帰りの喜び、

7曲目「梦里草原(夢の中の草原)」は過ぎ去った昔を追想する様子を表現しています。

この叙事詩のような内容豊かな音楽作品の中で、リーナは高い歌唱力、素晴らしい音楽表現力、優れた歌唱技術をもって当時の中国音楽界の人々を感嘆させました。この作品の芸術レベルは、今でも誰も超えることができないとされています。

番組の中でお送りした曲

1曲目一个古老的故事(古い物語)

この曲はアルバム「蘇武牧羊(蘇武、羊を牧する)」の1曲目です。曲の冒頭部分では荒涼たる原野の中で北風がヒューヒューと音を立て、リーナの低くて、抑揚ある歌声は人々を遥か古の時代へと誘います。

歌詞:

この歌は千年にわたり歌い継がれる

おばあさんがお父さんに歌い

お父さんが私に歌う

蘇武は不屈の意志で

凍てつく大地で19年間を耐え忍ぶ

2曲目帰来(帰ってくる)

この曲は匈奴で19年間追いやられた蘇武がついに漢に戻る時の心境を表しました。

歌詞:

西域で放逐された19年間

今日 ようやく帰ってこられる

19年間長安を見なかった

19年の艱難辛苦は誰に訴えればよいのか

ラバを置いて早く帰りたい

19年にわたる辛苦を嘗めつくして

やっと苦境から抜け出した

万里の黄河は海に戻る

もう函谷関に入りたくない

3曲目梦里草原(夢の中の草原)

アルバム「蘇武、羊を牧する」の最後の曲です。蘇武が過ぎ去った昔を追想する様子を表現しています。

歌詞:

苦難はもう過去となり

昨日のことは思い出となる

賑やかなドラや太鼓の音がだんだん静かになり

(西域の管楽器)コカの沈んだ悲しい音色が夢の中に流れてくる

青春は過ぎ去り

髪は白くなっている