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『騎士団長殺し』簡体字版中国で予約開始、大きな反響

2018年 2月 13日13:40 提供:新華網日本語

村上春樹氏の小説『騎士団長殺し』の簡体字中国語版『刺殺騎士団長』が中国で予約開始となり、大きな反響を呼んでいる、この作品は南京大虐殺などの日本の歴史の闇の部分にも触れており、時代の潮流の中のさまざまな人間性を分析している。

個人的世界観に浸る語り手から、実社会で生きる思考者へという村上作品の変化は決して突発的なものではなく、ある種自然な連続性を持っている。

昨年4月、メディアにはめったに登場しない村上氏が、新作の『騎士団長殺し』について日本のメディアのインタビューを受けた。

これに先立つ2月、村上氏は7年ぶりの新作長編小説となる『騎士団長殺し』を出版したが、この作品の中で日本の中国侵略戦争などの歴史事件にも触れ、「南京大虐殺を承認」したことで右翼勢力や過激なネットユーザーの攻撃に遭った。右翼勢力は村上氏がこの作品を書いたのは「中国のご機嫌取りのためだ」や「ノーベル文学賞が欲しいからだ」などと批判した。これについて、村上氏はインタビューで「歴史歪曲」には、「物語という形で闘っていく」と述べている。

「歴史というのは国にとっての集合的記憶だから、それを過去のものとして忘れたり、すり替えたりすることは非常に間違ったことだと思うから、闘っていかなくてはいけない。小説家にできることは限られているけれど、物語という形で闘っていくことは可能だ」

村上氏は南京大虐殺にどのような文脈で言及したのか。原文を読んでみるとそれは、主人公である「私」が屋根裏部屋にしまってあった絵の中に隠された真実を見つけ出す過程で、画家の雨宮具彦とその弟の1930年代の経験について隣人と話す場面で登場する。会話の中で村上氏は、隣人のセリフとして、1938年前後に日本にとって「いくつかの致命的な、破局に向けて後戻りすることのできない出来事が」あったとし、その中に盧溝橋事件と南京大虐殺が含まれているとしている。

「そうです。いわゆる南京虐殺事件です。日本軍が激しい戦闘の末に南京市内を占領し、そこで大量の殺人がおこなわれました。戦闘に関連した殺人があり、戦闘が終わったあとの殺人がありました。日本軍には捕虜を管理する余裕がなかったので、降伏した兵隊や市民の大方を殺害してしまいました」と原文に書いてある。

村上氏は小説中の人物の会話表現を用いて南京大虐殺についての見解を記している。それは戦争による死傷者が出たことだけでなく、日本軍が大量の市民を殺害したことに問題の本質があるというものである。

日本文学の研究者である武漢大学の李聖傑氏は、次のように見なしている。村上作品では、社会や歴史問題への関心が発展的・継続的に繰り返される過程において語られてきた。初期の作品は基本的に個人的な世界観で語られてきたが、1995年に東京で発生した地下鉄サリン事件は彼に大きな影響を与え、その後の作品はより強く社会性を持つようになった。これは『1Q84』などの近年の作品にも見られ、日本社会の一種のタブーに切り込んでいる面もある。村上氏は今回の作品で歴史問題について触れたが、このような関心と思考の連続性で、右翼勢力が語るような突然の方向転換やノーベル文学賞のためのものでは決してないのだ。

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