ようこそ、中国上海!
海上会客庁

Home >> 新着 >> 社会

新型肺炎との闘いでハイテク化が進む中国

2020年 3月 17日8:34 提供:新華網日本語

第5世代移動通信システム(5G)のロボットから3Dプリンター製の医療用品、さらには多種多様な先進医療まで、中国は優れた技術力を活用し、新型コロナウイルスとの闘いに臨んできた。そうした技術はすでに効果が実証され、ウイルスとの闘いで前進したことを示す前向きな兆候が次々とみられるようになっている。

かわいらしくも機敏なロボットが荷物を配達し、AIを搭載した指示音声や無人機(小型ドローン)が、マスクの着用を忘れずにと人々に呼びかける。こうした光景はもはやSF作品の中だけではなく、中国各地で実際に目にすることができるものだ。

江蘇省蘇州市では、顔認識や体温スクリーニングといった機能を持つスマートモバイルロボットが町をパトロールし、ウイルスの感染拡大を抑えるのに一役買っている。

顔認識や温度診断などの機能を持ち、江蘇省蘇州市にある行政サービスセンターを巡回するスマートモバイルロボット。(2月21日撮影、南京=新華社配信)

開発に携わった南京大学の研究員によると、5Gやクラウドコンピューティング、インテリジェントビジョンといった技術が特徴のこのロボットは、同時に30人以上の動きを追跡できるという。

南京大学蘇州イノベーション研究所の関係者は「このロボットは人がマスクをしているのかを認識し、着けていない場合は警告音や音声でそれを知らせることができる」と話している。

南京では、ウイルスの感染が広がって以降、人間に代わってロボットが配達員を務めている。家電大手の蘇寧電器が始めたサービスで、ウイルスが原因で移動が制限されている多くの地域で活用され、ドア・ツー・ドアの配送を行っている。

同社によれば、ロボットの最大積載量は145リットルで、配送のたびに消毒されている。また、誤差5センチメートル以下の正確さで移動し、障害物に行き当たらない配送ルートを自ら導きだし、最大10時間の連続稼働が可能だという。

ロボットは湖北省武漢市でも活躍し、厳しい移動制限が敷かれた町で、緊急の医療物資や生活必需品を輸送する役割を担っている。

10日、江蘇省南京市のあるコミュニティーで商品を配送をする「蘇寧無人配送小biuロボット」。(2月10日撮影、南京=新華社配信)

■驚異の先端技術

新型肺炎発生後、ハイテクメーカーの蘇州江南航天機電工業は、武漢市の仮設病院を支援するため、すぐに「移動医院」機器9セットを送り届けた。機器は複数の専用車両で構成され、作業中の救急隊員をサポートするものや、電気通信を行うもの、電力を供給するものなどがある。

また武漢では、一日に約5トンの医療廃棄物が出ているとされており、それを適切に処理するべく、3種類の大きさのモバイル焼却炉が使われている。開発した南京緑洲机器によると、これを使えば廃棄物は20分で無害な灰に変わるという。

国家造船(CSSC)傘下の南京緑洲机器の工場内にある医療廃棄物焼却炉。(2月19日撮影、南京=新華社配信)

湖北省でもう一つ目を引くのが3Dプリンター製の検疫室だ。蘇州市に拠点を置く資材会社の開発者によれば、部屋はおよそ10平方メートルの広さがあり、空調や浴室、シャワー設備を完備しているという。

感染が拡大する中で、中国全土のハイテク企業が製品のイノベーションに注力している。黒竜江省を拠点とする哈爾濱新光光電科技の研究開発チームは、わずか5日で新しいサーモメーターを発明した。同社の関係責任者は、「このサーモメーターは、半径30メートル以内にいる高熱の人を1秒かからずに検知できる」と話し、感染の予防に必要な物資を供給する仕事にフル活用されていると続けた。

13日、黒竜江省ハルビン市で、スペクトル温度計の調整を行うハルビン哈爾濱新光光電科技の技術者。(ハルビン=新華社記者/王松)

■画期的な治療法

中国国務院の丁向陽(てい・こうよう)副秘書長は、中国の科学者たちが科学技術の飛躍的前進に向けて奮闘していることを明かし、国内では伝統の漢方と西洋医術を組み合わせた治療法を用いていると話した。

新型コロナウイルスの検出において、核酸検査は重要な役割を果たしている。江蘇省無錫市のバイオテクノロジー関連会社によると、同市の専門家が15分以内に感染をスクリーニングできる核酸迅速検査キットを開発したという。

江蘇省にあるバイオテクノロジー会社の創設者、タミー・タン氏は「核酸検査でウイルスの遺伝子配列を検出し、集団発生からわずか一週間でコロナウイルスの遺伝子配列を解読したことから、中国の配列決定技術は世界最高水準にあることが証明された」と述べた。

中国では見たことのないスピードでワクチンも開発されている。中国国家衛生健康委員会の医薬衛生科技発展研究センター鄭忠偉(てい・ちゅうい)主任は、一部の対コロナウイルス用のワクチンが4月に臨床試験に入る予定だとしている。

鄭氏によると、ワクチンの研究開発は法律や技術的要件に従って行われており、中国の研究者はワクチンの標準についても、世界保健機関(WHO)との情報交換を継続しているという。鄭氏は「われわれの目標は、安全性と有効性を確保しつつ、できるだけ早くワクチンを導入することだ」と語った。

当社のコンテンツは著作権法によって保護されます。無断転用、複製、掲載、転載、営利目的の引用は禁じます。