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「仕事は996、病気でICU」、中国IT業界の若者の悩み

2019年 4月 4日9:33 提供:東方網 編集者:王笑陽

 ギットハブ(GitHub)とは、ソフトウェア開発者のためのプラットフォームだ。IT業界以外の人にとってはあまり耳馴染みのない名前だが、3100万人の開発者と、エアビーアンドビー(airbnb)、アイビーエム(IBM)、グーグル(Google)をはじめとする180万以上の組織に利用されている世界最大級の開発者のためのコミュニティで、ギットハブ社によって運営されている。

 3月26日、ギットハブに「996.ICU」という名前のプロジェクトが立ち上がった。これまで16万人がスター(スターは「いいね!」のようなもの。多いほど人気プロジェクトという意味になる)をつけたほか、中国のQ&Aサイト「知乎」やSNSサイト「ウェイボー」でも大きな話題を集めている。

 「996」とは朝9時から夜9時まで働き、週6日間の勤務体制のこと。「ICU」とは重症疾患や大手術後の患者を対象とした病院内の特殊治療施設である。これを合わせた「996.ICU」は「仕事は996でへとへとになり、病気になってICUへ入る」を意味し、中国のプログラマーが自嘲して使っている。

 プロジェクト「996.ICU」の発起者によると、このプロジェクトを立ち上げた目的は、「企業が中国の労働法における労働者の基本的な権利を尊重することを求める」にある。

 『中華人民共和国労働法』によると、中国の標準的な労働時間は1日8時間で、平均週40時間と制限されている。そして、残業時間の上限は1日3時間、一か月36時間と制限されている。だが、現在中国では多くのIT企業で「996」勤務体制となっており、この結果、週に最低6×12=72時間の労働時間となってしまっている。

 プロジェクト「996.ICU」をきっかけに、「996」勤務体制に関する問題がネット上で広く注目されるようになった。現在、「996」勤務体制は、IT業界の大手企業特有の現象ではなく、中小企業、さらにはIT以外の業界にまで蔓延しているという事実が明らかにされた。そして「996」に苦しむプログラマーが提供した情報を基に、「996.ICU」ではプログラマーの就職ブラックリストを作成。これには海外でも有名な大手企業、例えばファーウェイ(HUAWEI)、アリババ(Alibaba)、ティックトック(TikTok)なども名を連ねている。さらに一部の会社では「996」どころか、「9106」か「897」勤務制度を行っていることも判明した。

 法的に見れば「996」勤務体制の合法性は極めて疑わしい。しかし、いったん会社がこのような勤務体制を採用し、それが会社精神や文化、評価制度などと結びついたら、個人がこのような体制に「NO」を言う事はほぼ不可能になっている。そのため、「仕事は996、病気でICU」と自嘲しながら、一生懸命働くIT業界の若者は決して少なくない。

 この問題に対して、「996を受け入れられないなら、ほかの企業や業界に転職すればいい」、「ほかの業界よりずっと高い給料をもらっているプログラマーなんだから文句を言うな。自分で選んだ道なのに」、「デザイナーもこのようなプロジェクトを立ち上げましょう」など、ネット上には批判も含めて様々な意見が出ている。

 最新のニュースによると、現在国内のブラウザでプロジェクト「996.ICU」にアクセスできなくなったという。

(編集:W)