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社会

伝統的なSF小説では発展の出口が見えない——中国人SF作家、劉慈欣氏にインタビュー

2017年8月17日 8:36
 提供:新華網日本語

新華網ヘルシンキ8月16日(記者/李驥志張セン)中国人SF作家・劉慈欣氏の「三体」シリーズは、SF小説界で最高の栄誉とされるヒューゴー賞に2度ノミネートされ、ヒューゴー賞長編小説部門賞を1度受賞している。しかし劉慈欣氏は、自分の作風がすでに時代遅れで、世界のSF作品の流れは別の方向に向かいつつあると考えている。

ここ数年にヒューゴー賞にノミネートされた作品を見ると、現在アメリカの多くのSFやファンタジー小説は、人種差別や男女差別、社会に対する人工知能の影響、社会倫理に対する生物学の影響といった現実的な問題により注目しており、これらのテーマに従って、以前とは異なる叙事構造や作風を用いている。

これらの局面が現れたのは、科学が高度に発展した現在、テクノロジーがすでに人々の日常生活のあらゆる面に浸透し、読者の心の中で科学の持つ神秘性がますます薄れてきてきたことによるものだと劉氏は見ている。「これはSF文学が現在直面している最も致命的な打撃で、発展の出口がほとんど見えない状況になっています。」と劉氏は語る。

SFの発展を取り戻すため、アメリカ人は早くも20世紀70年代からあらゆる努力を試みてきた。SF作品と科学を引き離し、SFをより文学化させ、深宇宙から人の心への描写、宇宙人から人類の異なる人種や性別間の関係の描写へと方向転換してきた。

「彼らはこうした努力を通して、SFファンや影響力を拡大しようとしたが、現時点では、これは成功していないようです。」と劉氏は語る。劉氏の記憶によれば、SF小説の黄金時代は活気にあふれ、作家はみな20代の若者で、読者も若者だった。「今のSF大会のファンたちは何歳だと思いますか?ぽっこりお腹の中年たちばかりをひきつけるような文学に希望があると思いますか?」

現在、「三体」を含む劉氏の作品数本の映画化がすでに決まっているが、これらの映画の最終的な成功については大きな自信を抱いていない。劉氏は「アメリカのSF映画やファンタジー小説は発展からおよそ1世紀の月日が流れたが、中国のそれはわずか3、4年にすぎないので、優れた映画を撮りたいと望むことはあまり現実的ではありません。」と語っている。

(新華社より)