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上海•大阪交流文集|学術交流で結ばれた「姉妹校」の絆——上海大学と大阪市立大学交流20年を振り返る

2023年 1月 16日11:16 提供:東方網

 今年は中日国交正常化50周年の節目にあたる。1974年4月18日に、上海市と大阪市は正式に姉妹都市提携を結んだ。姉妹都市の市立大学として、2003年4月25日に上海大学と大阪市立大学は姉妹校提携に調印。その後の20年来、両大学は相互訪問、交换留学、人材育成及び学術·文化芸術活動において良好的な協力関係を築き、維持してきた。特に、両国関係が低迷していた時期にも、両大学の学者の交流活動を途切れることなく続けている。両大学の学者は、「中日民間友好の伝統を発揚し、それに新たな時代の内包を付与し、両国関係の社会と民意の基盤を強固し、より広範な人文交流の展開に努め、相互理解を増進し、両国各界関係者が、特に若い世代が中日友好事業に関わることを励ます」という面でしっかりと取り組むように努力してきた。

 相互参照·協力は「姉妹校」学者交流の重要な原動力

 学術は交流によって多彩になり、参照しあうことによって豊かになる。2004年4月、大阪市立大学の杉本孝教授は、姉妹校提携後の初めての訪問学者として上海大学を訪問研究していた。杉本教授はかつて新日本製鉄に勤務し、改革開放初期に上海「宝山製鉄所」建設プロジェクトにも参加したことがある。

 2019年に放送された「中国の改革開放を支えた日本人」というNHKドキュメンタリーで、当時の新日鉄と宝鋼の協力を振り返る杉本孝氏

 2018年1月、日中友好会館(東京)にて筆者(右)と杉本孝教授(中)  

 杉本教授が上海大学で訪問研究していた間、上海大学東アジア研究センター所長として、筆者は杉本氏と両大学間の学術·情報交換、教員及び学生の交流について何度も話し合った。2005年9月、筆者は上海市代表団に同行して愛知万博を視察した後、大阪市立大学へ表敬訪問し、同大学の「アジア都市研究会」の責任者である中本悟教授、杉本孝教授、李捷生教授と会談して、「姉妹校協定」枠組みのもとで両部門の協力に関する覚書を締結した。2006年4月、上海大学の周哲瑋常務副学長一行が大阪市立大学を訪れ、金児暁嗣学長と両大学のより一層の交流協力について会談を行った。同年4月、上海大学の趙艶利先生が入学選抜に合格し、大阪市立大学博士課程に入学した。同年9月、日本での「創造都市」理論研究の第一人者である佐々木雅幸教授が上海大学を訪問し、特別学術講座を開催した。

 これらにより、両大学の学者同士の学術交流協力が本格的な軌道に乗るようになった。統計によると、ここ10年間(2011-2020年)、大阪·関西地区の大学へ学術交流を行った上海大学の教授や学者は延べ100人余りに達し、そのうち大阪市立大学を訪れた人は60人に達し、専門分野は人文社会科学系、経済·管理系、理学工学系などの学科に及んでいる。大阪市立大学の教授や学者も毎年上海大学を訪問し、交流している。2015年8月、本センターの仲介により、李捷生教授をはじめとする大阪市大の環境保護専門家ら計6名が上海第二工業大学を訪問し、電子廃棄物の技術処理の課題について交流を行った。2019年1月に上海大学と大阪市立大学との物理学科ワークショップ連携協定の調印式が大阪で行われた。

2017年11月8日、大阪市立大学の桜木副学長一行が上海大学を訪問

 「東アジア都市対話研究フォーラム」—— 新しい時代に求められるコミュニケーションモデルへの模索

 2012年下半期から中日関係が緊張状態に陥り、上海大学東アジア研究センターと大阪市立大学国際センターの学者らは、中日関係が直面している難題の突破、新しい時代に求められるコミュニケーションのモデルについて検討を行った。定期的に学術交流活動を展開する仕組みを確立し、文化の力で「政冷経冷」という難局の打開を求めることで双方は合意した。そこで、筆者と上海対外経済貿易大学の陳子雷教授、上海市教育委員会の張進先生、そして当時大阪市大交流センターの責任者であった中川真教授、李捷生教授との共同企画により、「東アジア都市対話研究フォーラム」が誕生した。

 「東アジア都市対話研究フォーラム」は2013年から2018年まで、上海と大阪との両地域で5回開催

 2013年11月7日、『中日平和友好条約』締結35周年と上海大学と大阪市立大学の姉妹校協定締結10周年を記念するため、大阪市立大学の西沢良記学長が代表団を率いて上海大学を訪問した。同日午後、「都市発展と高齢化政策の選択」をテーマに、第1回「東アジア都市対話研究フォーラム」が上海大学で開かれた。

 2014年11月29日、大阪市と上海市との姉妹都市提携40周年記念イベントとして、「地域課題解決への視点」をテーマに、第2回「東アジア都市対話研究フォーラム」が大阪市立大学文化交流センターで開催された。

 2016年9月17日、「中日企業の人的資源管理モデルとその特徴」をテーマに、第3回「東アジア都市対話研究フォーラム」が上海大学経済管理センターで開催された。

 2017年2月4日、「転換期における都市経済·社会の課題」をテーマに、第4回「東アジア都市対話研究フォーラム」が大阪市立大学·高原記念館で開催された。

 2018年9月20日、『中日平和友好条約』締結40周年を記念するイベントとして、「一帯一路と中日協力」をテーマとする第5回「東アジア都市対話研究フォーラム」が、上海対外経済貿易大学で開催された。  

 国際大都市として、上海と大阪は多くの共通の課題に直面している。両都市の発展途上で出会った地域課題を検討することは、双方の学者の共通の関心事である。「東アジア都市対話研究フォーラム」は、両地域が経済開発·社会発展の中での新しい問題と状況をめぐって研究·討議を行う場となっている。この「対話研究フォーラム」はオープンミーテングの形で一般市民や学外の研究者も参加でき、転換期における都市経済·社会の課題、「一帯一路」と中日協力、産業の構造調整、企業の人的資源管理モデル、高齢化の対応策、コミュニティの総合管理、旧市街地の改造及び貧富の格差問題などについて研究成果を発表し、それぞれの視点から意見を交換する。例えば、阪南大学の松村嘉久教授が第4回のフォーラムで発表した「大阪西成区あいりん地域での社会的実践からのレポート」は、中日学者の熱い議論を引き起こした。

 大阪の西成区あいりん地域の別名は「大阪のドヤ街·スラム街」である。2014年4月には大阪府警察本部と大阪府庁·大阪市役所が連携して、「あいりん地域を中心とする環境整備にかかる5か年計画」を策定し、その取組みは街の治安や環境の総合的な改善に大きな成果を収めた。当地域を中華商店街に転換する計画によって、世界中から観光客が集まるようになりつつある。「旧市街地の改造」プロジェクトは同じく上海の重大な民生プロジェクトでもある。旧市街地改造の確保、コミュニティ環境整備への総合管理、都市発展パターンの再構築、民生配慮及び歴史的文脈の伝承、都市のより暖かい未来など一連の課題は、両地域の学者と専門家が共に関心を寄せるところである。学術成果を互いに参考し、斬新なアイディアを生み出し、問題解決のインスピレーションを探し、対応策づくりに助言を打ち出すのが上海と大阪の学者交流の特徴である。

 学術交流が両地域の青少年交流事業の活発な発展を推進  

 青少年は中日関係の未来を担っており、大学は大学生·青年交流の展開において恵まれた優位性を持っている。姉妹校の「学生交流に関する協議書」に基づき、両大学は毎年相手校に交換留学生を派遣することになった。また、大阪市立大学と大阪府立大学も毎年の夏休みを利用し、学生を上海に派遣し、FNA企業見学や日中大学生交流活動に参加させることになっている。中日両国の大学生は交流会、市内観光、キャンパス見学、食事会や記念撮影などを通じて、お互いの理解と友情を深めている。2018年12月1日に、上海大学の推薦により、大阪市立大学の各学科の教授からなる教学チームの一行6名が上海甘泉外国語中学校·高校に赴き、高校生に「アニメーション入門」「大阪の環境問題」「会計学で何を学ぶか?」などの模擬授業を行い、好評を得た。

 2014年から2019年にかけて、上海大学と大阪市立大学が協力して、上海、大阪の両地で5回にわたり中日大学生芸術交流展を開催した。新型コロナウェルスに対する恒常的な感染予防対策により、2021年3月29日に行われた第6回芸術交流展は、オンラインとオフラインを組み合わせた形で、大阪市立大学で開催された。上海大学の劉昌勝学長と大阪市大学の荒川哲男学長がビデオ形式でお祝いのメッセージを送った。上海大学の学生は現地に足を運ぶことはできなかったが、書道などの作品を郵送する形で芸術展に参加し、中日の若者が芸術交流で結んだ貴重な友情を続けていくことができた。

 第1回(2015.03.27-29、上海大学にて)と第6回(2021.03.29-31、大阪市立大学にて)中日大学生芸術交流展ポスター

 2021年3月29日、上海大学の学長と大阪市立大学の学長がビデオ形式で第6回日中大学生芸術展にお祝いのメッセージを互いに送る

 大阪市立大学の学生と上海大学の学生の交流会(2015年9月12日)

  「一期一会」を大切にする

 大阪府堺市は茶道の宗匠と言われる千利休の故郷である。千利休が唱えた茶道の言葉「一期一会」は、禅の思想に富んでいることから、今では日本の仏教、茶道、人生の哲理となっている。「一期一会」とは、その日の茶会での出会いは一生に一度しかないのだから、それを大切にして誠実な心で人と接するべきだという意味である。  

 この理念は中日関係にも適合している。中日両国は引っ越すことのできない隣国であるから、仲良くしなければならない。「一期一会」のとおり、学術交流·教員及び学生の交流で結ばれた上海大学と大阪市立大学の「姉妹校」の友情は、私たち一人一人が大切にし、善意と誠意をもって、この交流を続けていく価値がある。

 2003年に上海大学と大阪市立大学が姉妹校提携して以来、すでに20年近くが経過した。昔の中国では20歳の青年を「弱冠」と呼んでいた。これは両大学の学者の間で展開されてきた学術交流の花が既に綻び始め、未来は更に期待できることを意味するであろう。

(作者:馬利中)