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上海•大阪交流文集|鑑真精神の船が友好の帆を張る

2023年 1月 9日16:30 提供:東方網

 中日国交正常化50周年を記念して今年7月下旬、中国美術館の呉為山館長の彫刻作品「鑑真銅像」が東京·上野公園の不忍池で公開された。唐の時代の高僧である鑑真和上は中日文化交流の先駆者であり、両国友好交流の長い歴史の象徴でもある。この文化を伝承する使者として「鑑真」にちなんで名付けられたフェリー「鑑真号」と「新鑑真号」は、長年にわたり、中日友好交流に様々な貢献をしてきた。

1985年5月30日、「鑑真号」が上海で就航し日本に向かった

 1980年代は中国の改革開放が加速して、中日交流がより広く、深くなった時期だ。当時、両国政府は協議を行い、中日交流の新しいルートを作ることを決定。そして、1985年5月30日、コスコ(現コスコシッピンググループ)と日中国際フェリー株式会社が投資して中日国際フェリー有限公司が上海に設立され、中日航路に貨客船「鑑真号」が導入された。鑑真号は中日国交正常化以来初となる定期貨客船サービスであり、中国が世界に開いた最初の海上旅客輸送の窓口でもあった。「鑑真」と名付けられたのは、苦難を乗り越えて日本に渡り、漢唐文化を伝えた偉大な僧侶を記念するためであり、また、故人の名で両国間の友好交流の架け橋を築くためでもあった。

新鑑真号

 1994年、「鑑真号」の後継として「新鑑真号」が就航した。上海-大阪-神戸を定期航海し、経済、貿易交流と人々の友好関係のために走り続けた。両船が往来した37年間には、感動的な物語が数多く残っている。

 2000年1月26日、新鑑真号が大阪港から上海へ航海中、2月中旬に出産予定日だった日本国籍の卞晃世が突然破水した。船医は直ちに彼女を診療所に移送して、緊急治療を行った。当時、船は草垣島の南東60海里の場所を航海していた。乗組員は全員協力し合い、スピードと方向を修正して妊婦が無事に出産できるよう、船を最も安全且つ穏やかな状態で走らせた。 そして同日午前9時30分、新世紀の元気な男の子·卞闊機が、「新鑑真」で無事に生まれた。船上での出産は上海-日本航路が開設して以来15年間で初めての出来事だった。卞闊機は中日国際フェリーから「新鑑真」名誉乗組員の称号を授与され、いつでも無料で乗船できる資格を与えられた。卞闊機の母親は上海で下船する時、一生忘れられない思いを込めて、手書きの感謝状を新鑑真号の乗務員に渡した。

鑑真像が新鑑真号に搭乗

 2016年5月14日、新鑑真号は特別な乗客を迎えた。それは鑑真の新しい彫像で、唐招提寺にある鑑真像を基に、中国の彫刻家が1年半をかけて完成させたものだった。彫像が日本に到着すると、奈良唐招提寺で新旧鑑真像の対面式が行われ、その後、新しい鑑真像は壬生寺に安置された。揚州の文峰寺と日本の壬生寺は「新鑑真像」の日本渡航イベントを主催して、中日文化交流に貢献した鑑真の生涯を振り返り、新しい時代の鑑真精神を伝承してこれからも多くの異文化交流に貢献することを決意した。

2018年、駐大阪総領事の李天然(右)が「新鑑真」号に書道作品を贈呈

  2018年9月に発生した台風21号は、関西国際空港に大きな被害をもたらした。多くの中国人観光客が帰国困難になったため、中日国際フェリーは駐大阪総領事館に連絡して、「新鑑真」で帰国困難者を帰らせたい意向を表明した。日本の税関は総領事館の要求に応じて乗船手続きを速やかに完了させ、9月11日正午に「新鑑真号」は帰国困難者は181人を含む乗客287人を乗せて、大阪港国際フェリーターミナルを出航した。

 中日文化交流協定40周年に際して、2019年12月17日から翌年2月16日まで、「滄海の虹:唐招提寺鑑真文化財と東山魁夷の障壁画展示会」が、上海博物館で開催された。展示されたのは唐招提寺の珍宝「金亀舎利塔」など、鑑真に関わる文化財のほか、鑑真像を奉納している御影堂にある東山魁夷(1908-1999)が描いた障壁画68点だった。これらは初めて海上輸送を通じて「新鑑真」号で上海に運ばれたものだった。 中日国際フェリーの責任者は、「上海博物館が展覧会を開催するというニュースを聞いたときにすぐ頭に浮かんだのは、鑑真の文化財を『新鑑真号』で運べば、より意義があるだろうということだ。『新鑑真号』は40年にわたる中日友好のシンボルというだけでなく、中国の海運文化と鑑真文化の組み合わせでもあるからだ」と、当時のおもいを述べた。しかし、現実は困難だらけだった。文化財は通常航空便を利用していて、海上輸送の前例もあったが、今回は非常に貴重な文化財であるために、最初、日本の関係部門は躊躇していた。  

 しかし、中日フェリーは諦めなかった。大きなスペース、短い輸送距離、振動が少ないなど、船は航空機より時間がかかること以外は文化財の保護に有利だと強調。数回の現地視察を通じて、68点の東山魁夷の作品は「新鑑真」号に載せられ、12月5日無事、上海に到着した。

 展示会は当初、2020年2月16日まで予定されていた。しかし、2020年に新型コロナが流行して展覧会は一時中止され、そして4月5日まで延期された。展示会が終わった後も、コロナの影響で「金亀舎利塔」などの文化財は航空機で日本に戻ることができなくなった。文化庁はこの特別な状況において、金亀舎利塔などの文化財を空輸から海運に変更し、中日国際フェリーに協力を求めた。

「任務を依頼された後、我々はすぐ動きはじめた。この特別な時期に、このような高いレベルの文化財を海上輸送で運ぶことには多くの困難があった。しかし、私たちの船名自体『新鑑真』であり、鑑真の文化財に協力が必要な場合、我々が責任を取ってやるしかない。中日文化交流のために貢献すべきだと考えた」と、中日国際フェリーの責任者は本音を話した。

新造船「鑑真号」の設計図

 「鑑真和上は日本へ6回渡航し、5回失敗した。その決意は折れることなく、苦難を乗り越えた」と、関係者は語る。そして今、4年の準備期間を経て、中日国際フェリーの新しい船が設計·建造段階に入った。2022年8月26日午前、新造船「鑑真号」の建造契約が正式調印し、2024年5月30日に完成する予定だ。今後、新しい船も鑑真文化を引き継ぐ使命を担うだろう。中国と日本の乗客に安全で効率的なサービスを提供し、上海国際海運センターの建設と中日経済·貿易交流の発展に新たな貢献しようとしている。

(作者:钱锋)