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上海•大阪交流文集|上海と大阪の絆を見つめてきた動物の「親善大使」

2022年 12月 14日10:23 提供:東方網

  新型コロナウイルス感染症の影響で3月16日から臨時閉園の対応を続けていた上海動物園が、6月2日に再開した。

 毎日、夜明け直後にリーダーと思われるテナガザルの「音頭とり」に合わせて、他のテナガザルが次々にハーモニーをつけるという上海動物園恒例の「モーニング·コンサート」も、再び観客を伴えるようになった。  

  78日間にわたる「閉鎖」期間中も、300人以上の上海動物園のスタッフが園内に残った。様々な困難に直面しながらも、ここで暮らす5000匹以上の動物の面倒を丁寧に見ながら、「非常時」においてもすべての動物が十分に食べられ、正常な暮らしを確保できるように取り込んできた。さて、この5000匹以上の動物には、国家間または都市間の絆をもって、遠くから海を越えて渡来してきた「新移民」及びその子孫が数多く含まれている。  

  60年以上の歴史を誇る上海動物園は、新中国の成立後、全国で最初に建てられた十大動物園のひとつであると同時に、中国第2位の都市動物園として、国際交流と協力が最も盛んに行われている動物園のひとつでもある。1974年には上海市と大阪市の間で友好都市提携が結ばれ、両国政府の支援のもとに、上海動物園と大阪市の天王寺動物園の間でも姉妹動物園提携も結ばれた。そして同年、上海動物園と天王寺動物園の間で代表団の相互訪問が初めて行われ、上海動物園は天王寺動物園へ黒色オオカミとマナヅルをそれぞれ1組贈呈。いっぽう、天王寺動物園からはカリフォルニアアシカ1組とマゼランペンギン2組が贈られた。それを契機に、双方は40年以上続く 友好交流の幕を開けたのである。

  以来、発展経験の共有、技術交流の促進、野生動物保護の強化といった共通目標の実健に向けて、両動物園は人的往来、技術交流、動物交換などの交流活動を進めてきた。これらの交流活動は、友好都市提携を結んだ上海と大阪の間で行われる友好交流の重要な一環であり、そこで交換される動物も、両市と両動物園の深い絆を見つめてきた「親善大使」となった。  

  2019年まで、上海動物園と天王寺動物園の間では、代表団の相互訪問、技術交流、動物交換などがのべ21回行われている。動物交換に関して、両動物園は展示動物の種類を拡充し、動物集団の構成を改良しながら、先進的な管理理念及び動物飼育、管理技術についても意見交換を行った。40年以上にわたり、双方から約160人が41回の技術交流に参加したとともに、爬虫類、鳥類、肉食動物、草食動物、霊長類など、希少な野生動物が計54種、216点贈呈、交換された。内訳をみると、上海動物園から23種、68点と天王寺動物園から23種、148点となっている。

  2016年上海動物園で行われた第20回目の動物交換式

  これら大阪から上海に来た動物の「親善大使」は、キリン、カリフォルニアアシカ、ニジキジ、ワライカワセミ、キンカジュー、シマスカンク、ケープペンギン、ウンピョウ、チンパンジー、ブラッザグエノン、ナキガオオマキザル、シシオザル、エリマキキツネザルなど、希少な動物がかなり多く、来園者にも大変可愛がられている。中国国内で初めて飼育、展示される絶滅危惧種の希少な野生動物も少なくないが、飼育担当者の粘り強い努力によって上海動物園で子孫を残して安定的な集団を作り出し、さらには子孫が何代も続いているケースもある。

  たとえば、上海動物園で最初に飼育されたキリンは大阪から来たものだ。1979年5月、天王寺動物園は、「恰都」、「長助」と名付けられたアンゴラキリン1組を上海動物園に贈った。飼育担当者の親身な世話のもとで、「恰都」と「長助」は種族の中心となって繁殖を繰り返し、上海動物園で子孫を増やしてきた。40年以上にわたって上海動物園で生まれた「恰都」と「長助」の血統につながる子孫はすでに6代目になり、累計で約70頭に達している。複数の子供が生まれた時には、中国国内の他の動物園に貸し出され、種族の繁殖に入ったこともある。現在、上海動物園に生息しているキリンは、ほとんどが「恰都」と「長助」の子孫である。特に言及すべきなのは、「恰都」と「長助」の娘にあたる「瓊々」が、「母親の栄光」とも言えるほど、生涯で11頭のキリンを生んだことだ。現在、「瓊々」の孫娘にあたる「四二」もその外祖母の優秀な血筋を受け継いで、すでに9頭出産している。「恰都」と「長助」は、上海動物園のみならず、中国国内で希少な種族とされるキリン集団の安定的な成長に大きく貢献したと言っても過言ではない。現在上海動物園でキリンなど草食動物の面倒を見ているのは沙炳福さんだ。28年間勤務しているベテラン飼育員であり、今回の「閉鎖」期間中も自ら進んで園内に居残った。沙さんは、キリンが世代を受け継いで増えていくことほど嬉しいことはないと目を細める。

子供のキリンにミルクを与える沙さん

  ケープペンギンといえば、上海動物園では超人気スターのような存在である。その無邪気で可愛らしい姿は、散歩するだけでも大勢のファンを魅了することができるほどだ。上海動物園でケープペンギンの集団ができたのは、1996年に10羽のケープペンギンが天王寺動物園からやって来たことが土台になっている。それから20年以上の繁殖を経て、上海動物園のケープペンギンの種族は180羽を超える規模に達している。興味深いのは、大阪から来た10羽のケープペンギンのなかで「模範夫婦」と言える1組のカップルが、生涯で22羽の子孫を残したことだ。「虎の父に犬の子はない」と言われるように、この「模範夫婦」の4番目の息子にあたるオスのケープペンギンも、同じく大阪から来たメスのケープペンギンとカップルを組んで新しい「模範夫婦」となり、すぐに親の記録を追い越して8年間で25羽の子孫を残している。この親子2代の偉大な貢献もあって、上海動物園は中国国内で最大規模となる飼育下におけるケープペンギンの種族の繁殖に成功した。このケープペンギンたちの子孫は今や中国全土に広がったばかりか、一部は海を渡ってミャンマーにも至っている。

  霊長類は上海動物園の「見どころ」で知られているが、種族の規模から見ても中国国内で第1位を占めている。中国国内で最大かつ最多種が繁殖している種族のひとつでもあるが、その多くは大阪から来たものだ。1996年、2007年、2013年と、天王寺動物園は3回に分けて上海動物園へブラッザグエノンを計9頭贈った。この9頭のブラッザグエノンによって残された子孫は、累計で48頭となっている。このほか、2009年に天王寺動物園から上海動物園へ贈られた3頭のシシオザルもすでに12頭の子孫を産み育て、中国国内で最大の種族のひとつにまで成長してきた。2013年に天王寺動物園から上海動物園にやってきた2頭のエリマキキツネザルもすでに10頭の子孫を残し、「ニュー·シャンハイ·モンキー」となっている。

(作者:黄剛)