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東レ中国の首藤和彦董事長、「中国経済と一緒に成長 持続可能な発展を実現」

2021年 2月 19日18:01 提供:東方網 編集者:範易成

  「2020年を振り返ると、困難の中に温情もありました。ウイルスは残酷だが、人は暖かい」。東レ(中国)の首藤和彦董事長は東方網のインタビューに応じ、去年1年間で最も印象に残ったことについて、一つは中国の防疫対策が世界一であること、もう一つは中国人の防疫意識の強さだと述べた。首藤氏は会社が軌道に乗ってきたので、気持ちも楽になって来たと言う。この十数年、毎年の春節休みは旅行に行ったり、日本に戻って過ごしたりしていたが、今年は初めて上海に残り、同じように上海で過ごす友人と一緒に春節を迎えるつもりだ。

  不織布を生産 コロナとの闘いに支援

  去年2月、コロナウイルスの感染拡大などで中国は大きな緊張を強いられ、不安が広がっていた。首藤氏はその時東レの東京本社に急ぎ赴き、事業継続計画を策定。そして中国に戻る日本人駐在員らに感染防止対策用に大量のマスクを持たせて、マスクに困っている現地子会社の従業員に渡しよう指示した。

  東レは従来から経営理念として、「安全、健康、法令順守」をすべてに優先し、中国人従業員の安全、健康を大切にしてきた。そのため、コロナが流行するとすぐに地元政府へ向けて、事業再開、工場再稼働、日本人出向者の再渡航とのお願いと努力を進めた。これにより再開の条件を満たし、春節明けにはすべての工場が遅延なく操業を再開できた。中国の従業員は約1万人いたが、これまで感染者は一人も出ていない。「これは政府側の強力な規制措置と全社一丸で努力した結果です」と首藤氏は述べた。

  コロナ感染が深刻化していた時、2006年に設立された東レ南通工場では、中国地方政府の要請に応じて防護服用の素材及びマスク用の不織布を全力で生産し、コロナとの闘いを支援した。

  中国経済と一緒に成長 持続可能な発展を実現

  東レの中国でのビジネス展開は、1955年に香港に商社を設立したことに始まる。現在では繊維、樹脂·ケミカル、フィルム、医療·医薬、水処理·環境の製造販売拠点に加え、先端素材の研究拠点も置いて多角的に事業展開をしている。2020年3月31日までに、東レの中国での設備投資金額は約192億人民元に達した。連結子会社は25社を有し、従業員は約1万人弱で、日本本社の単体の従業員に匹敵する規模である。

  2020年度は新型コロナウイルスの影響を受け、主に衣料用途の販売減が響いて、計画は未達成の見通しとなっている。しかし一方では、PPスパンボンドの特需や樹脂·ケミカル、医療·医薬などの分野で確実に需要を取り込み、計画以上の利益が出た。

  中国経済は世界に先駆けて新型コロナの影響からいち早く回復し、2021年度はGDP8.0%の成長が予測されている。さらに最近では、RCEP合意と日中関係の好転に伴い、経済の一体化が進むと予想される。首藤氏は、中国経済が好調なので、東レの中国事業がグループ全体の業績回復の牽引役となることを期待し、そこに向かって事業の拡大と素材の高度化を図っていきたいと語る。

  中国は19回全国代表大会において、「人々の幸せな生活を目標とする」、「人々に新鮮な空気を提供し、清浄な水を飲んでもらう」を提唱した。そのため、今後も消費の拡大と大気汚染、水汚染などを背景とした内需高度化と環境関連の法整備や、規制の運用強化がさらに進むことが予想される。首藤氏は、「東レは新技術·先端材料の提供を通じて、本質的なソリューションを持続的に提供し、中国の経済·社会と共に発展していきます」と語った。

  また、2021年は中国の第14次五カ年計画(2021~2025年)のスタート年である。この「十四五」計画は、「双循環」の新たな発展モデルを構築し、高度な対外開放を継続、互恵協力の新たな局面を拓くべきと提起している。そしてこれに伴う内需の拡大も、東レが手掛ける高付加価値素材の事業拡大のビジネスチャンスであると首藤氏は考えている。「市場を確実に取り込み、徹底した売り抜きにより更なる事業拡大と収益向上に邁進していく所存です」。

  中国のビジネス環境の更なる向上を信じる

  1月30日に上海市政府が発表した新5カ年計画では、上海市は2021年から5年かけて、国際経済の中心となる都市建設に向け、投資や貿易、金融サービスなどの利便性を向上させると述べている。首藤氏は、中国の経済発展の先駆となった海外からの貿易·投資を加速する橋頭保である上海市は、今後の5年間に各分野におけるビジネス環境の利便性が世界一流となり、さらに活力が溢れ且つ効率高い開放的ビジネス環境が整備されることを期待している。

  上海は中国経済の中心であり、自由貿易試験区など外資企業に対して門戸を開放してきた。東レグループも中国のヘッドクォーターである統括会社(投資性公司)を上海に有するほか、商事会社を自由貿易試験区に有し、中国事業拡大の重要拠点と位置付けている。

  「中華人民共和国外商投資法」が昨年1月1日から全面的に実施されたが、中国の近年の営商環境の変化について首藤氏は、「上海は市場環境、流通環境も自由化、透明化が中国で一番進んでいるうえに、行政手続きも透明化、簡素化が進んでいます。将来的にも外商投資法がより具体的に実施され、十分な理解と遵守を得てほしいです。中国のビジネス環境はさらに向上すると信じています」と述べた。

  除夜の夜に「重慶火鍋」を食べる

  首藤氏は2016年に2回目の中国派遣となり、上海駐在を始めた。最初の派遣は青島だった。数年ぶりに上海に来た彼は、上海の変化に非常に驚いたという。「街が清潔で美しく、地下鉄のネットワークもより完備していました。どこに行っても電子決済ができます。上海はもう世界一先進的な都市です」と称賛した。

  毎年、春節は海外で休暇を過ごしたり、日本に帰ったりするが、今年は初めて上海で春節を迎えるつもりですでに計画を立てている。旧暦大晦日は昼間に会社の同僚とゴルフ、そして夕食は同じ仲間と一緒に「重慶火鍋」を楽しむ予定だ。「中国で‘紅紅火火’の意味を持つ火鍋を食べて、良い業績を目指そうと思います。それに、中国の春節の楽しさを日本の友達に伝えたいです」と期待を述べた。

(編集:f)