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漢方医を目指して中国に来た日本人留学生

2019年 6月 24日11:03 提供:東方網 編集者:兪静斐

 日本の東京出身の大西雪奈さんは、「高校生の時は風邪を引きやすくて、よく疲れを感じました。そういう時、母は私のためによく生姜や牛蒡などの漢方の食材を使って料理を作ってくれたんです。おかげでだんだんと風邪を引きにくくなり、体調がよくなりました。それで私は漢方に興味を持つようになったんです。また、慢性疾患の治療には、漢方と西洋医学の総合治療がより効果的だ、ということに気づいて、中国へ医学を勉強しに行くことに決めました。現在は上海中医薬大学本科の5年生です」、と自分と中医(漢方医学)の関わりを紹介した。

 日本の街角には、そこかしこに薬局があり、風邪薬やツボを刺激する膏薬といった漢方製品を簡単に手に入れることができる。紹介によると、現在、日本にある6万店舗以上の薬局のうち、漢方製剤を扱っている店は80%にも上っている。誰でも気軽に買える人気の漢方薬だが、しかし、日本には漢方医がほとんどいない。

 漢方医になろうと心を決めた大西さんは、高校卒業後から中国語を勉強し始めた。HSK(中国語水準試験)四級を取得した後、上海中医薬大学に入学し、2018年7月からは曙光病院で実習している。授業に際しては中国語の基礎があったものの、教材の読書には難儀したという。「特に大学3年生の時の『皇帝内径』『傷寒論』などです。古文で読むことはできますが、話せない場合が多かったです」、と話した。

 曙光病院では、中医科、鍼灸科、婦人科、リウマチ科、肝硬変科などを受け持っている。大西さんは、患者との交流が一番重要だ、と話す。「婦人科で実習した時、患者さんは検査に疑問を持って、いろいろと質問してきました。でもなかなか答えられなかったんです。その後、ほかの先生に学んで患者さんに説明できるようになって、患者さんからも認められるようになりました」、と語った。病棟回診の時もよく患者とコミュニケーションし、体調を尋ねることに心がけている。患者からも積極的に「先生、今日もよろしく!」と挨拶されるようになったそうだ。

 病院実習では、患者とのコミュニケーションはもちろん、治療する能力も極めて重要である。鍼灸科での始めての診療では忘れられないことがある。その時、先輩の医師にいきなり「患者に鍼灸をやりなさい」、と言われた。非常に緊張したが、患者が不安にならないよう、落ち着いた振りをして針を付けた。「実は本当にドキドキだったんです。その緊張感は今も忘れられません」。大西さんは実習しながら、漢方医の基礎知識を強化して、臨床経験を積み重ねている。

 今後のキャリアプランについて、大西さんは、上海の漢方病院で働きたいと言った。それは上海にいる日本人が漢方医を信頼し、日本人向けの診療所も漢方薬での治療が多いからだ。或いは、日本に戻って、医薬企業で中洋折衷の薬品研究に従事し、漢方の医薬知識を伝承していきたいとも思っている。

 大西さんは、漢方医は世界で広く認知されていると考えている。「先輩によると、アメリカでの人気がとても高いそうです。クラスメートも世界各地から漢方を勉強しに来ている人達です。私はいつか自分の国で漢方診療所をやりたいです」、と語った。中国人が漢方医を信頼することは当然だが、実は外国人からも信頼されている。「漢方の治療効果は明らかで、例えば、鍼灸で患者の手や足が動かせるようになったりしています。ですから漢方医がこれからもどんどん世界に認められると信じます」、と語った。