ようこそ、中国上海!
中国国際輸入博覧会

Home >> 新着 >> 上海

ISO/TC249:中医学のために世界の「共通語」を作る

2019年 3月 20日9:56 提供:東方網 編集者:王笑陽

 国際標準化機構(International Organization for Standardization、略称ISO)は、国際規格を統一するための非政府機関である。ISO標準を策定·使用することは、製品やサービスの安全性·生産性·品質の確保に役立ち、世界的な貿易の促進にもつながる。ISOは各国の標準化団体で構成されており、工業製品、技術、食品の安全、農業、医療など数多くの分野を網羅している。このうち、中国の国家標準局(略称SAC)の申請により、中国伝統医学の分野において、生薬や製剤、鍼灸(しんきゅう)機器などの国際規格を定める専門委員会がISO/TC249である。

 中国伝統医学に基づく製品や医療技術は、現在世界中に広まっている。すでに183の国·地域で採用されているが、統一標準や規定がないため、低品質の生薬と製剤の流通、不適正使用による健康被害、無資格診療、定義·表示の不調和による貿易障壁など、様々な問題が生じているのも事実だ。

 このような背景から、世界の中国伝統医学(以下「中医学」と略)を統一し、国際的な流通や製品品質に関する問題を解決するため、ISO/TC249が設立された。このほどISO/TC249の沈遠東主席は、東方網の取材に応じ、ISO/TC249の成立やISO国際規格の制定手順について説明してくれた。

 沈遠東主席によると、現在ISO/TC249は中国、日本、韓国、アメリカ、カナダ、ドイツ、オーストラリア、タイをはじめ、計39カ国·地域のメンバーで構成されている。この中には中医学に関する法律を新たに制定したり、中医学を自国の医療体制に導入した国もある。これらは中医学の価値が世界で認められ、中医学に対するニーズが大きいことを現わしている。

ISO/TC249の沈遠東主席

 中国はISO/TC249設立の申請国だが、主導国ではない。ISO国際規格を制定する場合、一つの提案に対する審議は、基本的に5カ国の専門家、7つのステージが必要だ。発行されるまでは3年から4年かかる。例えば、ISO/TC249発足後に発行した初の国際規格「ISO 17218: 2014滅菌済み使い捨て毫鍼(ごうしん)(Sterile acupuncture needles for single use)」の制定には13カ国が参加し、毫鍼の種類から、材料、寸法、性能、包装、輸送、保管までの12項目において意思統一をした。そしてISO 17218: 2014の発行に伴い、ある企業では毫鍼の輸出量が30%増えたという。

ISO 17218: 2014発行を発表した記者会見

 沈遠東主席によると、この標準化事業には、中医学研究所や大学の専門家だけでなく、多くの中医学関連企業も参加している。

 「企業で研究職やマーケティング、品質管理をしている人々に我々の標準化事業に参加してもらうことは、ISOの精神と原則に違反しません。ISO標準は、もともと貿易と経済発展を促進するためのものです。企業や研究所との協力によって提案が増えるのは、私たちにとって喜ばしいことです」。

 2009年に設立されたISO/TC249は今年で10年を迎える。この10年間にISO/TC249は41の国際規格を発行したが、さらにあと37の提案が進行中だ。提案のスピードは速く、発行された国際規格の数は多いと言えよう。

 しかし沈遠東主席は、ISO/TC249は「快速な発展期」から「平穏な発展期」に移行しなければなければならないと考えている。「我々が制定したISO国際規格を、各国が自国の国家規格として採用している状況などを、これからもっと重要視すべきです」、と語った。

 ISO国際規格の採用は強制ではない。規格を定めるのは第一歩であり、より多くの国に認められて応用されることや、発行後の改訂や改良も大切な仕事である。

(記者:呉瓊編集:W 写真はISO/TC249の秘書処より)