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旧上海市図書館が再開 大人気の「観光地」に(2)

2018年 10月 12日18:11 提供:東方ネット 編集者:王笑陽

(2)~旧上海市図書館としての歴史:「大上海計画」の一環~

 旧上海市図書館は1930年代に民国政府が立てた「大上海計画」の中の一つのプロジェクトであった。「大上海計画」とは、当時の政府が各国の租界ではない地域で、主に上海の西北部にある江湾鎮を中心とした場所に「新しい上海」を作ろう、という考えのもとに提出された計画だった。

「大上海新都市建設計画鳥瞰図」

 プロジェクトには道路や市政ビルなどを建設するインフラ整備があったものの、抗日戦争の理由で何度も中止せざるを得なかった。また残念なことに、戦後、政府には「大上海計画」を続ける財力がなくなってしまった。こういう経緯があって、当時のプロジェクトではただ旧上海市図書館、旧上海市市庁舎(現在は上海体育学院内に現存)、旧上海市博物館(現·長海医院影像楼)、旧上海体育場(現·江湾体育場)などの建物しか残っていない。

旧上海市市庁舎(年代不明)

旧上海図書館(年代不明)

旧上海博物館(年代不明)

「大上海計画」の中で市政中心区とされた十字形のエリア。Aは旧上海市市庁舎の場所で、BとCは旧上海博物館と図書館。3ヶ所を結ぶと辺の長さが約1キロの正三角形を描ける。

 旧上海図書館は、当時の有名な建築家の董大酉(1899~1973)の設計による。董大酉は浙江省杭州市出身で、1922年に清華大学を卒業後、アメリカのミネソタ大学とコロンビア大学大学院に留学。1928年に帰国して上海に建築設計事務所を開設し活動を開始する。その翌年、上海市政府が「大上海計画」を発表して「上海市中心地域建設委員会」を設立し、董は委員会の顧問として招聘された。「大上海計画」の現存する建築物はほとんどが彼の作品だ。

設計者の董大酉

 1920年代末、中国では民族主義が高まる一方で、中国古典建築を復興するという建築思潮も流行し始めた。董大酉をはじめとする海外留学経験を持つ建築家は、欧米建築様式の束縛から脱却し、中国の伝統的な建築様式の中から中国現代建築の道を開こうとしていた。このため、「大上海計画」時代の建築物は、すべて濃厚な古典的色彩を帯びている。

(編集:W)