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上海ブックフェアで文学対談会 日本人作家吉井忍が「書店と職人精神」を語る

2018年 8月 20日9:30 提供:東方ネット 編集者:王笑陽

 北京在住の日本人作家·吉井忍が、16日午後、上海の思南公館で「書店と職人精神」をテーマに、世界文景出版社の編集者·沈宇と文学対談会を開いた。

 吉井忍は台北、マニラ、上海、北京などのアジア諸地域で記者として活躍したことがあり、2008年からは中国語での執筆活動を開始。雑誌『城市画報』に東京の特色のある書店に関する原稿を書いたのをきっかけに、『東京本屋』という本を書き始めた。

 取材に6年もかかった『東京本屋』は、2016年に上海人民出版社から出版された。近年、本屋の数はネット書店·大型店に押されて減少の一途をたどっているが、そんな潮流に抗してアイデアと独自性で多くのファンを持つ東京都内の「本屋さん」12店を紹介する本だ。今回の対談会で、吉井忍は本に書けなかったエピソードや取材の裏話、そして日本の本屋だけでなく、中国各地の本屋をたくさん訪れたことを通して実感した中日本屋経営者たちの精神を語った。

 対談の中で吉井は、北京のある本屋で『水滸伝』を買った時の思い出を語った。『水滸伝』は中国の明代に書かれた伝奇歴史小説の大作で、中国の「四大名著」の一つであるから、多くの出版社から刊行されていて異版が多い。それでどの版本を買ったらいいか迷い、本屋のスタッフに尋ねてみた。幸いにもこのスタッフは店内のすべての版本の『水滸伝』を読んだことがあり、最も読み易くて組版が心地よいと思う版本を吉井忍に推薦してくれた。

 「またこの本屋さんに行きたいです。客が尋ねたことに真剣に答えるのは、本屋さんにとって大切なことだと思いますから。」と、吉井は述べた。

 また、今度の上海ブックフェアについては、「東京ではこのようなブックフェアはないと思います。東京で開催されるブックフェアはほとんど業界関係者向けですから、本を売らないのです。上海のブックフェアではこんなに多くの本があって、展示エリアも大きいですし、様々なイベントもあります。すごいと思います。これは日本の出版社にとって手本になるでしょう。」と語った。

 2018上海ブックフェアの一環として、「上海国際文学週」も行われている。毎年、文学界の動向や話題などをテーマとするのが、2011年から始まった上海国際文学週の伝統だと言ってもいい。「都市」、「映像」、「書評」、「翻訳」、「東方」、「シェークスピア」、「SF」に続き、今年のテーマは「旅行の意義」だ。

 今度の上海国際文学週では、吉井忍のほかにも、スウェーデン文学院院士であるピーター·イングルンド(Peter Englund)、モザンビーク出身の詩人で小説家でもあるミア·コウト(Mia Couto)、グアダラハラ出身でメキシコ在住の作家であるアルバロ·エンリゲ(Álvaro Enrigue)、それから中国人作家の李敬沢、何建明など、合計28人の作家が上海を訪れ、文学対談や講座、新作発表会、読者交流会といった様々な数多くのイベントを開催する予定となっている。

(編集:W)