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上海

「みんなの役に立てる」――ノーベル賞受賞者天野浩

2017年3月14日 9:13
 提供:東方ネット 編集者:兪静斐

 「なぜ青色発光ダイオード(青色LED)を選んだ理由は非常にチャレンジングなテーマであったということで、これを作ればみんなの役に立てるという気持ちがあった。そのような観点に立つと、青色発光ダイオードが最も魅力的なテーマに映ったわけだ」――。

 2014年のノーベル物理学賞共同受賞者である名古屋大学の天野浩教授(56)が週末、上海科学会堂の国際会議センターで「世界を照らすLED·時代を担う若者たちへ」という講演会で来場者にこのように話した。

 天野教授は1時間半続いた同日の講演でノーベル賞受賞にまつわる裏話と普段の生活で携帯電話のディスプレイをスマートなものにしたLEDの開発秘話を披露した。「ノーベル賞受賞者発表当時は飛行機の中にいて、自分が物理学賞受賞者に選ばれたことを知らなかった」とし「空港に記者が大勢待機していて、多分映画スターを待っているのかと思う私は彼らの前をただ通り過ぎてしまった」と笑った。

 「みなさんは普段の生活でスマホ、携帯電話を何気なく利用しているよね。自分が学生の頃、熱中した青色LEDは、当時ブラウン管であったディスプレイをスマートなものにしたいという単純な気持ちだった。その実現に向かって真剣に取り組み、やっている時は楽しくて仕方がなかった」。

 天野教授はまた、「挑戦、貢献」のキーワードをもとに、メッセージとして来場者へ送った。「みなさんにはまだまだやるべきことがたくさんある。例えば安全な水の問題、難民の問題、テロの問題、エネルギー問題などなど、ちょっと考えただけで、取り組むべきテーマがたくさん挙がる。これらも含めて問題に対する取り組み方は人それぞれだ。大切なことは、自分なりのやり方で最後までやってみよう、自分が主人公である」と進めた。

 天野教授は現在、GaNデバイスに代表される先端的エレクトロニクス研究を推進すると共に、高度な人材を育成し、未来のエレクトロニクス産業の基盤を創成することを目的として2016年に設立された「未来エレクトロニクス集積研究センター」のセンター長として、研鑽を積み重ねている。

 東方ネット記者のインタビューに対し、天野教授は「家族の人々は研究分野がそれぞれ違うが、大切な存在だ。妻はロシアで日本語の講師を務めている」と話した。

 人生のモットーは「みんなの役に立てる」だ。

  (章坤良 写真も)

 天野浩(あまの·ひろし)56歳。静岡県浜松市生まれ。1983年名古屋大工学部卒業。88年同大大学院博士課程単位取得退学。89年工学博士取得。2002年名城大理工学部教授。09年応用物理学会フェロー、10年から名古屋大大学院工学研究科教授。14年青色LEDの研究により、ノーベル物理学賞を受賞。

 当時、王立科学アカデミーは「蛍光灯より4倍以上の高効率であるLEDの商用化は地球資源の節約に貢献した」と彼らの業績を評価した。研究熱心であることで知られ、大学の研究室は、平日、休日、正月など、常に夜遅くまで明かりが灯っており「不夜城」と呼ばれた。