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上海

漢方薬が国際舞台で最高の音色を響かせるには

2017年2月17日 13:41
 提供:東方ネット 編集者:兪静斐

 上海和黄薬業が生産した「胆寧片」が、このほど「治療効果あり」として漢方薬としては初めて欧米政府に認められ、カナダで衛生部天然薬品と一般用医薬品の販売許可を受けた。業界ではこれを、中国漢方薬の現代化、国際化の第一歩であると高く評価している。

 「胆寧片」以外では「丹参滴丸」なども成功したケースである。中華文明の神髄を載せた漢方薬が国際舞台で最高の音色を響かせるにはどうすればよいのか?他国の成功経験を参考に、より多くの漢方薬を人々に提供し、幸せのために貢献するにはどうすればよいのか考えてみる。

 国際市場への参入は単なる「補充」ではない

 漢方薬の現代化と国際化には、その突発口を捜すのが一番大切だ。今回の「胆寧片」を例として取り上げると、これは上海中医薬大学付属龍華医院の朱培庭教授が開発したものだ。「疏肝利胆(肝機能向上)、清熱通下(解熱通便)」の治療原則を基にして、慢性胆嚢炎による症状や、胆石病の治療に効果がある。龍華医院の肖臻院長は、「西洋医学での治療効果が思わしくない病気に対する治療が、漢方医が国際市場に参入する突破口となるだろう」と考えている。末期癌、肝胆の病気などは、現代の西洋医学ではまだ有効な治療法がないが、伝統的漢方医は独自の考え方を持っていて、患者の実際の需要に応えており、治療を補完する作用を果たしている。

 しかし、単に治療を補完することが漢方薬の長期的な目標ではない。肖院長は、「漢方薬が一般的な病気や多発性疾患に対して果たしている治療効果も、新たな突破口となれる」と語る。西洋医出身である中国工程院会員の樊代明教授は漢方医療を十分認め、菌群治療法で代謝性疾患を治療しているが、このように、専門家が漢方薬の考え方で糖尿病などの代謝性疾患を治療していることは、漢方医の国際影響力を向上させるものだ、と分析している。

 他山の石:政策の柔軟性、歴史の尊重

 中国漢方医と比べると、隣国の日本と韓国の伝統医学の国際化プロセスはもっと早くから始まっている。例えば日本の漢方薬は、国際市場である程度の影響力を持っている。肖院長は、「これらの国の政策の柔軟性に中国も学ぶべきだ」と考えている。日本では厚生労働省医薬食品局の許可で140種の処方薬品が臨床試験を免除されている。これは薬品の歴史的実績が尊重されたもので、これによって「葛根」や「小柴胡」などの漢方薬の大量生産が実現し、国際市場を開拓する良好なベースとなった。

 専門家は更に、「日本の漢方薬の中医理論に対する研究はそこまで深くはない」、と述べる。日本では確かに漢方薬が臨床応用で多く使われているが、単独の薬効で使われることが多い。一方、中国の伝統的中医は個々の治療をメインとしていて、正確さからみるともっと先進的だが、広く普及させるのは難しい、と指摘している。

 したがって専門家は、「中国が伝統の漢方医学文化を伝承させると同時に、柔軟な政策と開放を実施すれば、中医学の影響力を拡大させることができる」とアドバイスする。

 中国医学の伝播と同時に、文化的要素も強調すべき

 ここ数年、中国医学は海外でも日々発展している。チェコにおいて曙光病院が中医診療所を開設した時には、チェコの首相も診察を見学した。

 専門家は、文化の伝承と輸出には、投資をするだけでは足りないと考える。それには国際市場の実際の需要とつなげて、多方面と提携することが必要だ。肖院長は、中華文明がもつ中庸·中和の精神と、包容力の大きさを強調する。医学も同様で、例えば韓国では、映画やドラマと伝統医学、礼儀、服装、食文化といった要素を融合して、文化を有効的に伝え、人々の伝統医学に対する認識を向上させたが、このようにする必要があると述べる。

 中国医学の国際化には、産業とサービス業の二つの角度からの理解が重要だろう。つまり中国漢方薬のランクアップには、需要に向かって前進しつつ、文化的特徴の強調と漢方のサービス業を結合させることにも、しっかりと注目していかなければならない。

(編集:兪静斐)