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評論

専門家「プーチン露大統領 シリア問題で『瞬発力を発揮』」

2017年11月23日 17:08
 提供:新華網日本語

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、この数日間にシリア問題に関して一連の外交活動を行った。シリアのバッシャール・アサド大統領と会談した後、アメリカのドナルド・トランプ大統領や複数の中東国家の首脳と電話会談をし、シリア問題の政治的解決を協力して進める立場を繰り返し表明した。

中国社会科学院ロシア・ヨーロッパ・アジア研究所のロシア外交研究室副主任で研究員の李勇慧氏は、イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)への攻撃が終わりに近づき、中東で新たな政局を迎えることが必至のこのときに、ロシアは、有限の共通認識を集め、シリア情勢の実質的仲介をできる限り推し進めようとしている、と指摘した。

ロシア側は21日、プーチン大統領が20日にシリアのアサド大統領とロシア南部のソチで会談したと発表した。プーチン大統領はその席上、1.シリアでの対テロ戦争はもうすぐ終結する、2.シリア国内の和平交渉を進めるときが訪れた、3.各々がより協力するべきで、国連はシリア問題の政治的解決に向けその役割を果たすべきであり、それにより政治的方法を通じてシリアの和平・安定が実現する、との見方を示した。

サウジアラビアのサルマン国王、エジプトのアブデルファタハ・シシ大統領、イスラエルのベンヤミン・ネタニエフ首相とも電話会談を行ったプーチン大統領は、地域情勢や二国間協力について話し合ったほか、対テロやシリア情勢での協力について重点的に話し合った。「シリア問題の政治的解決を推し進める好機が訪れている」と考えるプーチン大統領は、各国により一層の協力を求めた。

プーチン大統領とトランプ大統領との21日の電話会談は1時間を超えるものであった。ロシアのテレビ局「ロシア・トゥディ(RT)」はホームページで、その内容は、シリア衝突の終結、対テロ協力の強化、ウクライナ問題、朝鮮半島情勢、イラン核協議問題、アフガン問題などに及んだと報じた。

電話会談を終えたトランプ大統領は取材に対し、「プーチン大統領ととても素晴らしい話をした」「シリアの和平について議論した。とても重要なことだ」と答えた。その後ホワイトハウスは、プーチン大統領とトランプ大統領は国連主導のリビアでの折衝プロセスにおいて、シリア内戦の平和的終結についても役割を果たすことを支持すると強調した、と発表した。

「米露両首脳の複数回の電話会談では、毎回シリア問題に話が及び、さらに両者とも協力の意向を示している」と話す李勇慧氏は、「21日の電話会談で、トランプ大統領は、ロシアのシリアでのテロリストに対する軍事的攻撃の効果を肯定した。対テロの協力面で、両者にはすでに多くの明らかな共通認識がある。APECの会議において、露米が対テロ共同宣言を出したことは、共同でテロに打撃を加えるという立場と態度をさらにはっきりと示し、アメリカがシリアにおけるロシアの対テロ大規模攻撃を認めたものでもある」と指摘した。

李勇慧氏はさらに、米露は対テロ面で協力の基礎を有しており、「世界のテロリズムが厳しい情勢に直面し、西側諸国での単独テロやロシアで先日発生した電話によるテロ活動などは、すべてグローバルテロリズムの活動の具体的表れである。今後IS勢力の反撃や逃亡に厳重に警戒することは、米露を含む各国が直面する複雑な任務である」と指摘した。

「将来的には露米両国はシリアの内政問題でも話し合うことができ、アメリカは交渉の条件を出すかもしれないし、これまで認めてこなかったアサド政権を条件付きで認めるかもしれない」と話す李勇慧氏はまた、「協力のほかは、米露間には、戦略や安全保障上の対立など構造上の対立が依然として存在する。総合力世界一の超大国として、アメリカに、ロシアに対する抑制や警戒の立場を改める兆しはみられない」と述べた。

22日、プーチン大統領は、トルコのエルドアン大統領、イランのロウハニ大統領とソチでシリア問題に関する三カ国会談を行った。その主なテーマはシリア問題の最新状況と地域情勢であった。この三カ国会談には「シリア問題、ひいては中東問題に関する米露両国の政策の違いが表れている」という李勇慧氏は、「巨大なゲームの構造としてみると、アメリカとその同盟国がチーム、ロシアとイラン、トルコがもう一つのチームとなり、中東の政局の争奪戦を今後も続け、さらにはその力を強めるだろう。米露がどの程度まで協力の一面を見せるかは、対立の激化防止と中東地域や世界の戦略的安定に影響を与える」と指摘した。

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