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評論

マクロン氏はなぜフランス最年少のリーダーになれたか

2017年5月9日 11:35
 提供:新華網日本語

新華網北京5月9日(記者/韓氷応強)フランス内務省が8日早朝に発表した統計データによると、前経済相で「左右の溝を超える」ことを主張した政治運動「前進(En Marche!=アン・マルシュ)」の候補者、エマニュエル・マクロン氏が、7日行われた仏大統領選挙の決選投票で66%以上の票を獲得し、当選した。

わずか39歳のマクロン氏はどのようにしてフランス第五共和政の約60年に及ぶ歴史の中で最年少の大統領になることができたのか?この若いリーダーはどのようにフランスの前進をけん引していくのか?

  勝利の三大要因

マクロン氏が勝利できたのには3つの要因がある。第一に、選挙における主張と政権における潜在能力が有権者から認められたことである。

7日の投票日当日、記者が複数の投票所で取材した投票者は、マクロン氏に投票したのは、経済自由化を推進し、欧州連合(EU)を支持するという彼の立場を認め、フランスに真の変化をもたらすことができると思うからだと答えた。

第二に、マクロン氏の選挙戦略が適切で、また適時に調整できた点である。

シンクタンクの欧州外交評議会(ECFR)パリ事務所の責任者、ManuelLafont Rapnouil氏は、5日に発表した報告の中で、外交経験に欠けるマクロン氏は選挙中、外交問題に対してはほとんど態度を曖昧にし、自分に余地を残すと同時に、自分を「一艘の大きな船のようにし、有権者の希望と夢を乗せることができるよう多くのスペースを残した。」と指摘した。

第三に、フランス極右ポピュリズム勢力は強さを増しているものの、課題を解消するところまでは至っておらず、政権を握る民意の基礎が備わっていないことだ。

パリ政治学院政治研究所の事務局長、マダニ・シュフラ氏は記者に対し、マクロン氏が獲得した票のうち、かなりの票は彼の主張を支持したためではなく、ル・ペン氏の当選に反対するためだったとし、「これはフランスの民衆が極右勢力に直面すると依然として相違を捨て、共に反対の姿勢を示すことを示しているが、一方で、マクロン氏の民意の基礎に弱い一面があることも反映している。」と述べた。

  各界から歓迎の声

マクロン氏の当選のニュースが報じられると、フランス国内外から多くの歓迎の声が寄せられた。

仏オランド現大統領は7日晩、声明を発表し、マクロン氏に祝福の電話をしたことを明かした。米トランプ大統領は7日、ソーシャルメディアを通し、マクロン氏の当選を祝福し、「彼と一緒に働くことをとても楽しみにしている!」と述べた。独メルケル首相の報道官も、マクロン氏の勝利は「力強く一致団結した欧州と、仏独の友好関係にとっての勝利」だと述べた。英テリーザ・メイ首相の報道官は、イギリスにとってフランスは最も親しい同盟国の一つで、共通する幅広い課題に取り組むことを楽しみにしていると述べた。

  多くの難題

アナリストは、若いマクロン氏は新政権に向け心意気に燃えているが、就任後、少なくとも4つの難しい問題に直面することになると指摘している。一つ目は、フランスは現在、失業率の上昇、経済成長の低迷、厳しい反テロ情勢等、多くの課題に直面していることだ。二つ目には、「仏大統領選第3回投票」とも呼ばれる国民議会選挙が6月に行われ、「国民戦線」、伝統的右派・共和党等の陣営が選挙に着手し始めており、マクロン氏を支持する派が多くの議席を獲得できるかを予想するのは難しい。三つ目に、ポピュリズム勢力は今回の選挙で勝つことはできなかったが、ポピュリズムの思想の広がりが、マクロン氏の施政にとって大きなプレッシャーとなる可能性がある。四つ目に、フランス社会では現在、エリート階級が固定化しており、中産階級との溝が拡大していることである。

(新華社より)