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評論

安倍首相の憲法改正は「民衆を惑わせた後の突撃」に警戒

2017年5月8日 13:05
 提供:新華網日本語

新華網北京5月8日(記者/閻潔)日本は5月3日、平和憲法施行70周年記念を迎えた。だが、数日前に日本の安倍首相は日本の超党派議員団体の会議で、今年のこの記念すべき節目に「憲法改正の目標に向かって歴史的な一歩を踏み出す」必要があると断言した。

安倍内閣が米軍との軍事演習を絶えず強化するにつれて、日本の民心に浸透した平和憲法は現在、かつてない危機に直面しつつある。『朝日新聞』は3日、社説を掲載し、平和憲法を危機に陥れた根源は、安倍政権の日本の戦後の新しい体制に対する否定的な考えであり、「安倍政権は日本の歴代内閣が営々と積み重ねてきた施政に対する謙虚さと憲法そのものに対する敬意に欠ける」と指摘し、安倍首相自身の「国民に憲法改正を1回味わってもらう」という論調は、その平和憲法を粗悪に扱う体質をはっきり暴露させたと評じた。

安倍首相と自身が率いる自由民主党は憲法改正を推し進め、特に日本の戦争参加を禁止する憲法第九条に焦点を絞っている。一方で、中国国際関係学院・日本語学科の紀暁晶副教授は、日本の「憲法改正年」の年内実現は難しいと指摘する。

紀暁晶副教授は「国有地売却問題」が暴露され、自民党と森友学園の緊密な関係が明るみになった。国会の会期は半分以上が過ぎたが、野党は「地価値下げ問題」を猛攻撃し、自民党内部でも疑いの声が上がっている。この情勢のもとで、安倍首相は自民党の国会での優位性を頼りに、憲法改正を強行に推進できない。

紀暁晶副教授は次のような見解を示した。このほか、日本の天皇は忠誠な「護憲派」で、天皇の声は相当な影響力を持つ。昨年8月、明仁天皇は生前退位を希望する談話を発表し、日本政府も5月に天皇の退位に関する報告書を国会に提出する方針だ。ある程度において、この問題をめぐる討論によって憲法改正のプロセスが遅れると予想される。紀暁晶副教授はまた「安倍首相は次の段階で、ロシア訪問などの外交の動きを利用してこの局面を打開すると考えられる。先に自身の執政の地位を固め、民意の支持を獲得してから、憲法改正に乗り出すだろう。」と語る。

短期内で憲法改正の実質的な動きに出ることは難しいが、安倍首相はこれによって「計算」を止めたのではない。例えば、安倍首相が提示した「憲法改正を1回味わってもらう」という論調は、現状を見た妥協策と言える。

中国外交学院の周永生教授は次のように述べた。いわゆる「お試し憲法改正」は、日本の民衆を憲法改正の枠組みに誘い込むことで、人を欺くものであることは疑いない。「憲法改正を1回味わってもらう」ことで、小さな調整にすぎず、憲法に大規模な修正を加えないという錯覚を起こさせる。しかし、一旦、憲法改正が軌道に乗れば、日本の民衆は最終的に安倍政権の憲法改正の幅を制御できなくなる。

紀暁晶副教授は「日本の憲法改正への支持者は3~4割だけで、安倍首相は「お試し憲法改正」を通じて、日本の民衆に微調整後の憲法を受動的に受け入れさせることで、平和憲法の徹底的な改正という目的を徐々に達成したいと考えています。」と指摘し、「これが現実化すれば、日本の軍国主義化の傾向が大いに台頭し、東北アジアの平和にとって極めて不利になります。」と述べた。

日本と米国が最近、頻繁に「朝鮮半島の危機の悪化」を口実にすることで、軍事一体化を絶えず加速させるやり方に各界は警戒している。日本の自衛隊は、艦艇と戦闘機を派遣して米国空母「カールビンソン」打撃群と合同演習を行った。5月1日、日本政府はさらに、護衛艦「いずも」を米軍への燃料補給艦として堂々と送り込んだ。日本で新安保法の施行後、海上自衛隊の艦艇が初めて米国の軍艦を護送した。

紀暁晶副教授はまた、次のような見方を示した。安倍首相は朝鮮半島情勢の緊張に乗じて、集団自衛権を身勝手に拡充し、半島の緊張情勢の受益者になることを目論んでいる。中国とロシアが対話と協議を通じて平和的な方法で朝鮮半島の核問題の解決に向けて尽力しているときに、安倍首相がこれとは逆にシュミレーションの戦争ゲームを仕掛けてくる背後に、憲法改正を水面下で進める「秘策」が確かに存在する。韓国『ハンギョレ新聞』は、安倍政権と保守係メディアは朝鮮半島情勢を利用して、既存の憲法だけに頼っては日本を守ることができないという一種の雰囲気を作り出していると指摘する。

周永生教授は、「朝鮮半島情勢の緊迫化は安倍首相が憲法改正を推進する上で役に立つでしょう」と述べ、「なぜなら、日本政府はこの機を利用して朝鮮の核問題の脅威を大げさにあおり、日本民衆の自身の安全に対する懸念や恐怖感を強め、更には後者にその憲法改正を支持させることで、日本の軍事力を強めることができるからです。」と述べている。

(新華社より)