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(新華視点)フィリピンの南中国海仲裁案に関する9つの問題

2016年 5月 17日12:10 提供:新華網日本語

  新華網北京5月17日(新華社「新華視点」の記者/白潔、楊依軍、王卓倫)フィリピンの申し立てに応じて設立された南中国海仲裁案の仲裁裁判所で近頃裁定が下される。フィリピンが南中国海仲裁案を一方的に提起し推進したことは、国際において大騒ぎされて、中国政府が姿勢表明によりしきりに回答・反駁したことから、学界、民間から幅広い注目を集めている。仲裁案はどこから生まれたか?。フィリピンがそれを強引に推し進める目的は何なのか。中国はどう対応するのか。……

  新華社「新華視点」の記者は各界が注目する9つの問題を整理し、また関連の政府部門の高官や法学の専門家、歴史学者を取材して、上述の問題について1つずつ回答した。

  問題一:南中国海仲裁案はどこから生まれたのか

  2013年1月22日、フィリピン外務省が中国駐フィリピン大使館に口上書を渡し、フィリピンは中国・フィリピンの関連の南中国海「海洋管轄権」紛争について強制的に仲裁を提起すると伝え、その根拠は『国連海洋法条約』の関連規定にあると主張した。中国政府は、フィリピンの提起した仲裁を受け入れず、関与しないと何度も厳粛に声明を出してきた。

  2014年12月7日、中国政府はフィリピンの提起した南中国海仲裁案の管轄権問題に関する立場を述べた文書を発表し、中国が仲裁を受け入れず、関与せず、及びに仲裁裁判所が本件に対して明らかに管轄権を持たない立場や根拠を全面的・系統的に説明した。

  しかし、フィリピンの固執した推進のもとで、仲裁裁判所は依然としてそのプロセスを強行に推進している。現在、仲裁裁判所は実体問題への審理を完成し、近いうちに最終裁決が発表される。

  「前世紀70年代以来、フィリピンは長期にわたり中国・南沙の島礁を不法に占拠し、おおいに建設を行ってきた。それが今では逆に盗人が他人を泥棒呼ばわりし、『条約』の紛争解決メカニズムを乱用して、一方的に仲裁を提起していることは、一種の『悪意ある提訴』であり恐喝行為にあたります。」と中国社会科学院辺境研究所の李国強研究員は述べている。

問題二:フィリピンはなぜ南中国海仲裁案を提起したのか

  外交部条法司の徐宏司長の説明によると、2013年1月23日、フィリピンが仲裁プロセスを開始した翌日に、フィリピン外務省は文書1件を発表し、仲裁への提出・申請の目的を「我々の国家の領土と海洋区域を守る」ためだと明確に叙述し、「我々の国家主権を放棄」しないと主張し、真実の意図を非常に露骨に伝えたという。

  「フィリピンが南中国海仲裁案の一方的な提起に固執する実質的な目的は、仲裁という手段を通じてフィリピンが不法に占拠する中国・南沙諸島の島礁を窃取し、中国の領土主権や海洋権益を法律上否定することにあります。」と中国政法大学国際法学院の馬呈元教授は述べている。

  問題三:中国の仲裁案に対しどんな立場と姿勢を表明するのか

  領土主権と海洋権益問題において、一方的に申し立てた第三者による紛争解決方法を断じて受け入れないことは、中国の一貫した立場だ。中国政府のフィリピン南中国海仲裁案に対する立場と姿勢は終始、明白だ。それはすなわち受け入れない、参加しないことである。今後、裁決結果が出た後も、これを承認せず、執行しない。

  問題四:仲裁裁判所は公平で公正かつ権威があるのか

  フィリピンの一方的な要請に応じて設置された臨時機関である南中国海仲裁案仲裁裁判所は『条約』規定に違反し、強硬な審理と管轄の行使は独断的な権利拡張と職権乱用に属する。

  外交部辺海司の肖建国副司長は、仲裁裁判所はフィリピンの不法で道理の通らない主張をただ全面的に受け入れるだけで、実質的にはフィリピン側の代理人になっており、第三者手続きにあるべき公正な立場と慎重な品格から完全に離脱していると指摘する。

  問題五:南中国海仲裁案は単純な法律案件なのか

  徐宏氏は次のように語る。「フィリピン南中国海仲裁案は決して単純な法律紛争ではなく、法律の衣を着た政治的茶番劇です。」「大量の証拠から、フィリピンが提起する南中国海仲裁案の真の目的は中国の南沙島礁に対する領土主権を否定し、中国南沙島礁を不法に盗取する行為を合法化することにあることが立証さました。」

  事実上、2013年にフィリピンが一方的に仲裁を提起してから、米国は影が形に添うように一致して動いている。公開された報道を見るだけでも、米国の大統領府、議会、国務省、軍側にはいずれもフィリピンのこの行動を支持すると表明した要人がいる。

  問題六:参加しないことは何も行動しないことを意味するのか

  フィリピンが提起した南中国海仲裁案を受け入れず、それに参加しないことは、中国がこの問題で何もしていないというわけではない。実際に、フィリピンが一方面的に仲裁案を提起した時から、中国は多くのルートを通じて、複数の手段を講じて自国の合法的権利を擁護してきている。

  2014年12月7日、中国政府はフィリピンが申し立てた南中国海仲裁案の管轄権問題に関する立場を明記した文書を発表した。

  このほか、2015年10月、仲裁裁判所は管轄権と受理可能の裁決を下した後、中国外交部が裁決は無効で、中国に対し拘束力はないという声明を発表し、五つの点について法律原理の依拠を説明した。

  中国側はまた、その他の複数のルートを通じて国際社会に自国の立場をアピールした。外交部長、駐外大使、報道官などが会見、会談、講演、記者会見などの多くの場所で、中国の立場を説明し、フィリピンの行為を批判した。

  問題七:裁決結果を承認せず、執行しないことは国際法に違反するのか

  中国の外交部は仲裁案の最終結果がどうかにかかわらず、中国は裁決を受け入れず、承認せず、裁決を断じて執行しないと再三にわたり表明している。中国はいかなる国がこの裁決を基に、中国側と南中国海問題を協議することを認めず、いかなる国、機関、個人がこの仲裁裁決を基に提起する一切の訴求と主張を受け入れない。

  多数の国際法の専門家は、フィリピンが一方的に申し立てた仲裁は国際法に背くもので、仲裁裁判所は合法性と公正性を欠き、いわゆる中国の裁決結果を承認しない、執行しないという姿勢は国際法に違反するという考えは、「完全にレッテルの貼り付け」だと見ている。

  問題八:不利な裁決は南中国海の権益を失うことを意味するのか

  国際法の専門家はこの状況は裁決が執行されてはじめて生じるが、中国の仲裁案問題における立場は受け入れない、執行しない、且つ仲裁裁判所は関係執行機関がないため、仲裁結果は中国の南中国海の権益擁護に影響を及ぼさないとの見解を示した。

  問題九:中国は「孤軍奮闘」なのか

  記者が確認したところによると、東南アジア諸国連合(ASEAN)と域外諸国を含む約40の国が中国の南中国海仲裁案に関する立場を支持する姿勢を明確に示している。「これは中国が協議によって南中国海問題を処理し、南中国海の平和と安定を擁護し、『南中国海各方面行為宣言』の立場を全面的に効果的に実施することに対する国際社会の理解と支持であり、世界の公平と正義を擁護する声を代表している。」と曾令良氏は述べた。

  曾令良氏はまた、次のように述べた。仲裁裁判所が裁決を下した後、短期的に一部で雑音と騒音が発生する可能性がある。これに対し、中国は南中国海問題における立場、政策、姿勢を変えることなく、自国の権益を継続的に断固とした姿勢で擁護し、南中国海の平和と安定を守らなければならない。

  (新華社より)