ようこそ、中国上海!
2018新春

Home >> 新着 >> 編集者 >> 編集W

芒種:梅の実が黄ばむ

2018年 6月 6日16:38 提供:東方ネット 編集者:王笑陽

 今日は二十四節気の一つ「芒種(ぼうしゅ)」である。稲や麦など芒(外殻にある針のような毛)を持つ穀物の種をまき始め、農家が忙しくなる時期とされている。また、中国では揚子江中·下流地域、日本では近畿、中国、四国、九州などの地域が梅雨に入る頃で、蒸し暑くジメジメする時期になる。日本の沖縄県では小満(しょうまん)と合わせ、「小満芒種(すーまんぼーすー)」と呼んで梅雨を表すという。

梅の実

「螳螂生、梅子黄」

 以前は二十四節気をさらに約五日ずつの三つに分け、気象の動きや動植物の変化を知らせる七十二候というものもあった。それが日本に伝わって、江戸時代の暦学者によって日本の気候風土に合うように改訂されたが、現在の日本では1874年の「略本暦」に掲載された七十二候が主に使われている。

 「略本暦」によると、芒種の初候は「螳螂生(かまきりしょうず)」、次候は「腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)」、末候は「梅子黄(うめのみきばむ)」と言う。中国では次候と末候の名称はそれぞれ「鵙始鳴(モズが鳴き始める)」と「反舌無声(鶯が鳴かなくなる)」と呼ばれる。日本の俳句には、この七十二候に基づく季語も残っているといわれる。


花の神を祭る

 中国清代の長編小説『紅楼夢(こうろうむ)』の第27回によると、芒種の日に花の神を祭る風習もあったようだ。

 「明ければ4月26日、この日の未の刻が芒種節に当たっていた。これは上古以来の風俗として、およそ芒種節の日にはいろいろの供物を並べて花の神を祭ることになっている。この日がすぎると夏になり、すべての花は散ってしまって、花の神は位を退かれるから、これに対して餞別をしなければならぬのである。そしてこの風俗は婦人の間でことに盛んに行われている。

 (至次日乃是四月二十六日,原来这日未时交芒种节。尚古风俗:凡交芒种节的这日,都要设摆各色礼物,祭饯花神,言芒种一过,便是夏日了,众花皆卸,花神退位,需要践行。然闺中更兴这件风俗,所以大观园中之人都早起来了。)」。

清·費丹旭筆『十二金釵図之黛玉葬花』、故宮博物館

 第27回に、散った花びらがどこかへ飛んで行き、汚いものと一緒に終わってしまうのを嫌がって、林黛玉が箒で花びらを集めて土に埋めるという名場面も描写されている。だが、現在はこの風習はなくなっている。


梅酒作りのシーズン

 芒種の時期にすることと言えば梅酒作りだろう。三国志には、曹操が劉備を梅園の宴に招き、梅の実を肴に天下の英雄を論じる、「青梅、酒を煮て、英雄を論ず」という話が記載されている。

 芒種の末候「梅子黄」とは、梅の実が黄色く熟し始めて来るといった意味だが、この頃の梅はまだ青い実が多いようだ。青梅は食用になるだけではなく、保健作用もある。青梅は浄血、高脂血症の緩和、ストレス解消、美容などの効果があり、免疫力を強める独特な保健機能もある。しかし、酸っぱいのでそのままでは食べられず、加工してから食べるのが普通だ。

 中国では「青梅煮酒」という言葉が広く知られている。実際に梅酒を作るには煮る必要はなく、漬けるだけで美味しい梅酒が簡単に出来上がる。きれいに洗った青梅と氷砂糖をガラス瓶に入れ、ホワイトリカーや焼酎などのアルコール度数20度以上の酒を注ぎ、冷暗所に6ヶ月から1年置くと梅酒が完成する。

梅酒

 また、中国では蒸し暑い夏に飲む甘酸っぱい酸梅湯も人気だ。薫製したウメを煮出し、氷砂糖などを入れて簡単に作れる飲みものだ。バラや木犀の花を入れて香りを調整することもできる。消化を助け、ストレス解消などの機能がある。

酸梅湯

 最後にこの時期に旬な食べ物と言えば、パプリカ、ピーマン、ししとう、いんげんなどの夏野菜や、鯵、鰹などの魚、あんず、枇杷などの果物がある。夏に入ると多くの人は食欲がなくなってくるので、この時期にはさっぱりした味の物を食べた方がいい。キュウリ、キクラゲ、レタス、トウモロコシなどがお勧めだ。調味する際には、お酢を入れるとビタミンCの効果で保存と殺菌も期待できる。