ロサンゼルス・オリンピック柔道金メダリストの山下泰裕氏の講演会が26日午後、上海市長寧区の龍心館道場で開催された。
山下氏は席上、「柔道を通した人づくりと国際交流」をテーマに、上海で柔道を稽古している地元の体育学校生、龍心館道場生、インターナショナル校生、約200名にPPTで写真などを見せながら講演を行った。
山下氏は「柔道を始めたのは小学校4年生の時だ。小学校へ入学した頃には小学校6年生並の身体をしており、元気が有り余って周りに迷惑ばかり掛けていた。小学校4年生になった時にはクラスメイトの中で、私がいるから学校に行きたくないと、登校拒否を起こす者が出るような状況だった」という逸話を披露した。
講演を行う柔道金メダリストの山下泰裕氏
また、「そういう中で両親がこのままでは家の息子が大変なことになるのではないか、人様から後ろ指を指されるような人間になるかもしれないと心配して、私に柔道を勧めたのがきっかけである」と語り続ける。
両親は「柔道は単に勝ち負けを競うだけではない、体力を身に付けるだけでもない、精神を磨く、柔道をやれば少しは他人に迷惑を掛けないような子供になってくれるのではないか」そんな思いで先生の所にお願いにいったそうだ・・・。
山下氏は、体育学校生、龍心館道場生、インターナショナル校生に対し、「夢を持ち続けることはどれほど重要であるのか」を力説し、「柔道にとって一番大事なことは、単に柔道のチャンピオンになることではない、柔道で学んだことを生かして人生の勝利者になることだ。社会に出て可愛がられる人間に、役に立つ人間に、活躍出来る人間になること、これが大事なんだ」と繰り返し強調した。
(章坤良 写真も)
山下泰裕氏プロフィール(山下氏公式HPより抜粋):
1957年生(熊本県上益城郡矢部町出身)、柔道8段
1983年3月 東海大学大学院体育学研究科修了
1984年 国民栄誉賞受賞
【柔道戦歴】
1977〜1985年 全日本選手権優勝
(9年連続)
1979・1981・1983年 世界選手権
+95kg優勝(3回連続)
1981年
世界選手権無差別級優勝
1977・1978・1979・1980・1982・1983年 全日本体重別選手権
+95kg優勝
1984年 ロサンゼルス・オリンピック 無差別級優勝(金メダル獲得)
1985年6月17日 203連勝にて現役選手を引退
引退後、アトランタ及びシドニーオリンピック日本代表監督・世界選手権監督などを歴任し、中村3兄弟、井上康生などオリンピックチャンピオン2名、世界チャンピオン4名を育成した。著書に『黒帯にかけた青春』、『楽しい柔道』、『勝負の瞬間』 、『武士道とともに生きる』 などがある。